背中にできたしこりが押すと痛いとき、多くの人が「何か悪い病気ではないか」と不安に感じるかもしれません。
背中は自分で見えにくい場所なので、しこりを見つけたときに余計に心配になることもあるでしょう。しかし、背中のしこりの多くは、脂肪の塊や炎症などによる良性のもので、過度に心配する必要はありません。痛みを伴う場合も、必ずしも悪性であるとは限りません。
この記事では、背中にできた押すと痛いしこりの主な原因や、痛みがなくても注意が必要なケース、自分でできる見分け方、そして、がんなどの悪性の可能性についても詳しく解説します。また、ご自身で対処することの危険性や、どのような場合に病院を受診すべきか、適切な診療科についても説明します。この記事を読んで、背中のしこりに関する正しい知識を持ち、安心して適切な行動をとれるようにしましょう。
押すと痛い背中のしこり、主な原因
背中にできたしこりが押すと痛む場合、いくつかの原因が考えられます。痛みは、しこりそのものが炎症を起こしている場合や、周囲の神経を圧迫している場合などに生じやすい症状です。特に背中は皮膚の下に脂肪組織が多く、筋肉も発達しているため、さまざまな組織由来のしこりが発生する可能性があります。
痛みを伴う背中のしこりの多くは、細菌感染や物理的な刺激などによって組織が炎症を起こしている状態です。炎症が起こると、その部分に熱を持ち、赤く腫れたり、押すと強い痛みを感じたりすることがあります。
また、皮膚の表面近くにできたしこりは、衣類の摩擦や外部からの圧迫によって痛みを感じやすくなることもあります。深い部分にできたしこりでも、大きくなるにつれて周囲の組織や神経を圧迫し、痛みを引き起こすことがあります。
このように、背中の押すと痛いしこりは、単なる物理的な刺激によるものから、炎症を伴う疾患、まれに悪性の可能性まで、原因は多岐にわたります。自己判断せずに、症状が続く場合や変化が見られる場合は専門医に相談することが大切です。
痛みを伴う代表的な背中のしこり
背中に発生するしこりのうち、押すと痛みを伴う代表的なものには、以下のようなものが挙げられます。これらは比較的一般的で、その多くは良性の疾患です。それぞれの特徴や痛みのメカニズムを理解することで、むやみに不安になることを避けられます。
粉瘤(アテローム)
粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造ができ、その中に本来は皮膚から剥がれ落ちるはずの垢(角質)や皮脂がたまってできる良性の腫瘍です。通常は痛みがないことが多いのですが、細菌感染を起こして炎症が起きると、赤く腫れ上がり、強い痛みを伴うようになります。この状態を「炎症性粉瘤」と呼びます。
炎症を起こした粉瘤は、見た目が急に大きくなったり、触ると熱を持っていたりすることがあります。このように、炎症性粉瘤は「赤く腫れあがって、強い痛みを伴う」特徴があると兵庫医科大学病院の病気解説でも述べられています。袋の中の内容物が溜まり続けたり、感染が進行したりすると、破裂して内容物が出てくることもあります。炎症がひどい場合は、周囲の組織にも影響が広がり、広範囲に痛みを感じることもあります。
粉瘤は全身どこにでもできますが、背中や顔、首などに多く見られます。中央に小さな黒い点(開口部)が見られることがありますが、炎症を起こすと見えにくくなることもあります。押すとブヨブヨしていたり、少し硬く感じたりすることがあります。炎症が強い場合は、触れるだけで激しい痛みを感じるため、押すことが難しい場合もあります。治療は炎症を抑えるための抗生物質の内服や、切開して膿を出す処置が行われます。炎症が治まった後に、手術で袋ごと完全に摘出することが推奨されます。
炎症性脂肪腫
脂肪腫は、脂肪細胞が増殖してできる良性の腫瘍で、通常は柔らかく、押しても痛みがありません。しかし、まれに脂肪腫の中に炎症が起きることがあります。これを「炎症性脂肪腫」と呼びます。炎症の原因は明確ではないことが多いですが、外からの刺激や内部での血行障害などが関連している可能性が考えられます。
炎症性脂肪腫は、通常の脂肪腫とは異なり、赤みを帯びたり、触ると硬く感じられたり、押すと痛みを伴ったりします。痛みは炎症の程度によって異なりますが、ズキズキとした持続的な痛みや、触れたときの痛みが特徴です。通常の脂肪腫に比べて、境界がやや不明瞭になることもあります。
診断は、視診や触診に加え、超音波検査やMRIなどの画像検査が行われることがあります。確定診断や悪性腫瘍との鑑別のためには、組織の一部を採取して調べる生検が行われる場合もあります。炎症が強い場合は、まずは炎症を抑えるための治療が行われ、炎症が落ち着いた後に手術で切除することが一般的です。
ニキビ・毛嚢炎
背中は皮脂腺が多く、衣類による摩擦や蒸れなどによって、ニキビや毛嚢炎ができやすい部位です。これらは毛穴とその周囲に炎症が起きる疾患です。
ニキビ(尋常性ざ瘡)は、毛穴に皮脂が詰まり、アクネ菌が増殖して炎症を起こすものです。初期段階では痛みがないことが多いですが、炎症がひどくなると赤く腫れ上がり、押すと痛みを伴うようになります。膿がたまることもあり、潰れるとさらに炎症が広がることもあります。
毛嚢炎(もうのうえん)は、毛穴の奥にある毛包に細菌(特にブドウ球菌)が感染して炎症を起こすものです。ニキビに似ていますが、皮脂詰まりが原因ではなく、カミソリ負けや摩擦、汗などによって毛穴が傷つき、細菌が侵入することで起こります。毛穴ごとにポツポツと赤く腫れ、中央に膿点が見られることもあります。こちらも押すと痛みを伴い、かゆみを伴うこともあります。
ニキビや毛嚢炎による痛みは、炎症が起きている部分に限局しており、比較的小さなしこりであることが多いです。セルフケアで改善することもありますが、炎症が強い場合や広範囲にわたる場合は、皮膚科を受診して適切な治療(抗菌薬の外用や内服など)を受けることが重要です。
その他の炎症や感染
上記以外にも、背中の皮膚や皮下組織で炎症や感染が起き、押すと痛むしこりのように感じられることがあります。
- せつ・よう: せつは毛穴とその周囲の組織が細菌感染して化膿したもので、いわゆる「おでき」です。赤く腫れ上がり、中心に膿が溜まります。痛みは強く、熱を伴うこともあります。複数のせつが集まって広範囲に炎症が広がったものを「よう」と呼び、さらに強い痛みを伴い、発熱などの全身症状が出やすくなります。
- 蜂窩織炎(ほうかしきえん): 皮膚や皮下組織に細菌が感染して炎症が広がる病気です。境界がはっきりしない赤みや腫れ、熱感を伴い、触ると痛みが強く、広範囲に広がることがあります。しこりのように感じることもありますが、局所的な塊というよりは、皮下組織全体の炎症です。発熱や悪寒などの全身症状を伴うことも多いです。
- 化膿性汗腺炎(かのうせいかんせんえん): アポクリン汗腺がある部位(脇の下、股、お尻、まれに背中など)に慢性的な炎症が起き、痛みを伴うしこりや膿瘍、トンネル状の病変(ろう孔)ができる病気です。繰り返し炎症を起こし、治りにくい特徴があります。
- 外傷後の血腫・瘢痕: 背中をぶつけたり、傷つけたりした後に、皮下で内出血が起きて血腫ができ、しこりのように触れることがあります。この血腫が吸収される過程で炎症を起こしたり、しこりとして残ったりすることがあります。また、傷跡が硬く盛り上がって瘢痕(傷跡)となり、触ると痛みや違和感を伴うこともあります。
これらの炎症や感染によるしこりは、適切な治療をしないと悪化したり、慢性化したりする可能性があります。症状が改善しない場合や、熱を伴う、痛みが強いといった場合は、早めに医療機関を受診することが推奨されます。
押しても痛くない背中のしこり(良性の可能性が高いケース)
背中のしこりの中には、押しても痛みを伴わないものも多くあります。痛みがなくてもしこりがあると心配になるかもしれませんが、痛みがないからといって悪性であるとは限りません。むしろ、痛みがないしこりの方が良性であるケースが多いです。ここでは、押しても痛くない背中のしこりで、比較的よく見られる良性のものについて解説します。
脂肪腫(炎症がない場合)
前述の炎症性脂肪腫とは異なり、多くの脂肪腫は痛みや炎症を伴いません。皮膚の下にできる柔らかいしこりで、触るとプニプニしており、皮膚の上から動かすことができます。大きさは数ミリ程度の小さいものから、数十センチになるものまで様々です。
脂肪腫は脂肪細胞が増殖してできる腫瘍で、基本的には良性です。悪性の「脂肪肉腫」との鑑別が必要な場合もありますが、脂肪肉腫は急激に大きくなる、痛みを伴う、硬いなどの特徴を持つことが多いです。しかし、見た目や触診だけでは判断が難しいため、不安な場合は医療機関で正確な診断を受けることが重要です。
脂肪腫自体は放置しても健康に害を及ぼすことはほとんどありませんが、大きくなって神経を圧迫したり、美容上の問題になったりする場合は、手術で切除することもあります。
石灰化上皮腫
石灰化上皮腫は、毛根の細胞が石灰化してできる良性の腫瘍です。比較的若い人によく見られます。触ると硬く、ゴツゴツした感触があり、皮膚の下でコロコロと動くことが多いです。通常は痛みがありませんが、まれに炎症を起こして赤く腫れたり、痛みを伴ったりすることもあります。
大きさは数ミリから数センチで、顔や首、腕にできやすいですが、背中にできることもあります。診断は触診や超音波検査で行われることが多く、確定診断のためには切除して病理検査を行うのが一般的です。良性腫瘍なので、治療は必ずしも必要ではありませんが、痛みを伴う場合や大きくなる場合、診断が不明確な場合に切除されます。
皮膚線維腫
皮膚線維腫は、真皮(皮膚の深い層)にある線維芽細胞が増殖してできる良性の腫瘍です。数ミリから1センチ程度の小さなしこりで、硬く、盛り上がっています。色は褐色や黒っぽいことが多いです。
押すと硬く、皮膚を凹ませるような感触(ディンプルサイン)が見られることがあります。通常は痛みはありませんが、触ったり刺激を受けたりすると、かゆみや痛みを伴うことがあります。虫刺されや軽いケガの後にできることが多いと言われています。
皮膚線維腫も良性腫瘍であり、治療は必須ではありません。しかし、見た目が気になる場合や、衣類の摩擦などで症状が出る場合は、切除や凍結療法などで治療されることがあります。
ケロイド
ケロイドは、傷跡が異常に盛り上がり、周囲の正常な皮膚にも広がっていく病的な瘢痕(傷跡)です。本来の傷の範囲を超えて増殖するのが特徴です。やけど、手術の傷跡、ニキビ跡、ピアスの穴などが原因となります。背中はケロイドができやすい部位の一つです。
ケロイドは赤く盛り上がり、硬いしこりのように触れます。通常はかゆみや痛みを伴います。痛みは持続的であったり、触れたときに強くなったりします。押しても硬く、痛みを感じることが多いですが、痛みがない場合もあります。
ケロイドは体質的な要因が大きく、一度できると治療が難しい場合があります。治療としては、ステロイド注射や貼り薬、圧迫療法、レーザー治療、手術などが行われますが、再発することもあります。ケロイドになりやすい体質の場合は、傷を作らないように注意することが大切です。
これらの痛みを伴わない(あるいは痛みが少ない)しこりも、放置して良いかどうかは素人判断では難しい場合があります。特に、大きさが変化したり、痛みが出てきたりした場合は、念のため医療機関を受診して相談することをおすすめします。
【重要】要注意!悪性のしこりの特徴と見分け方
背中のしこりの多くは良性ですが、まれに悪性腫瘍(がん)の可能性もゼロではありません。「背中 しこり 押すと痛い」という症状自体が必ずしも悪性を意味するわけではありませんが、いくつかの特徴を持つしこりは、がんの可能性を疑って早期に医療機関を受診する必要があります。
悪性腫瘍は、周囲の組織に浸潤したり、転移したりする性質を持つため、早期発見・早期治療が非常に重要です。不安を煽るわけではありませんが、以下に挙げる要注意な特徴を知っておくことは、適切な行動をとる上で役立ちます。
良性・悪性を見分けるポイント(硬さ、形状、可動性)
一般的に、しこりの良性・悪性を判断する上で、以下の点に注目することが重要です。ただし、これらはあくまで目安であり、最終的な診断は医師による検査が必要です。
特徴 | 良性のしこり(可能性が高い) | 悪性のしこり(可能性が高い) |
---|---|---|
硬さ | 比較的柔らかい、弾力がある | 硬い、ゴツゴツしている |
形状 | 境界が比較的はっきりしている、丸い、楕円形 | 境界が不明瞭、いびつな形をしている |
可動性 | 皮膚や周囲の組織から独立しており、動く | 周囲の組織に固定されており、動きにくい |
増殖 | ゆっくり、あるいは変化しない | 比較的速いスピードで大きくなる |
痛み | 痛まないことが多い、または炎症時に一時的 | 持続的な痛みや不快感を伴うことがある |
表面 | 滑らか、正常な皮膚の色が多い | 皮膚がただれる、出血する、色が変化する |
もちろん、これらの特徴が全て当てはまるわけではありませんし、例外も多くあります。例えば、炎症を起こした良性のしこりは硬く、痛みを伴うことがあります。また、初期の悪性腫瘍は小さく、良性と見分けがつきにくいこともあります。
重要なのは、これらのポイントを参考にしつつも、自己判断で結論を出さないことです。少しでも気になる点があれば、医療機関に相談することが最も確実な方法です。
がんの可能性が疑われる症状
背中のしこり以外に、以下のような症状を伴う場合は、がんの可能性をより強く疑って、できるだけ早く医療機関を受診する必要があります。
- 急激な大きさの変化: 数週間や数ヶ月といった比較的短い期間にしこりが明らかに大きくなった場合。
- 痛みの出現・増強: これまで痛みのなかったしこりに痛みが出てきたり、痛みが強くなったりした場合。
- しこりの表面の変化: しこりの表面の皮膚が赤くなる、ただれる、出血する、潰瘍ができる、色が異常に濃くなるなどの変化が見られる場合。
- しこりの周りの変化: しこりの周りの皮膚が引きつれる、リンパ節が腫れるなどの変化が見られる場合。
- 全身症状: 発熱、原因不明の体重減少、食欲不振、倦怠感などの全身症状を伴う場合。
- 他の場所への転移: 別の場所に同じようなしこりや病変が現れた場合(特に皮膚がんの場合)。
これらの症状は、悪性腫瘍が進行しているサインである可能性があります。特に「急激な大きさの変化」と「周囲組織への固定(動きにくくなる)」は、悪性を疑う重要なサインとされています。
繰り返しになりますが、これらの症状がないからといって絶対に良性だとは断言できませんし、これらの症状があっても良性である場合もあります。しかし、これらの要注意な症状が見られる場合は、迷わずに医療機関を受診し、専門医の診断を仰ぐことが最も賢明な選択肢です。
背中のしこり、自分で潰すのは危険!
背中にできたしこり、特にニキビや粉瘤のように表面に開口部があったり、膿が溜まっているように見えたりする場合、「自分で潰してしまおう」と考える方もいるかもしれません。しかし、背中のしこりを自分で潰す行為は、非常に危険であり、絶対に行うべきではありません。
自己処置のリスク(化膿、悪化、再発)
背中のしこりを自分で潰すことには、以下のような多くのリスクが伴います。
- 化膿・感染の悪化: 手指や使用する器具が清潔でない場合、しこりの中に細菌が入り込み、感染をさらに悪化させる可能性があります。また、完全に内容物を出しきれず、かえって炎症がひどくなることもあります。炎症が周囲の組織に広がり、蜂窩織炎などを引き起こす危険性もあります。
- 傷跡・色素沈着: 強く圧迫したり、無理に内容物を出そうとしたりすると、皮膚に大きな傷ができたり、傷跡が残ったりする可能性があります。また、炎症後の色素沈着が濃く、長く残ってしまうこともあります。背中は服で擦れやすく、傷跡が悪化しやすい部位でもあります。
- 再発: 粉瘤などの場合、しこりの原因である袋状の構造ごと取り除かない限り、内容物を絞り出しても再び垢や皮脂が溜まり、高確率で再発します。自分で潰しても根本的な解決にはなりません。
- 診断の遅れ: もし、そのしこりがまれに悪性のものであった場合、自己処置によって病変を刺激したり、見た目が変化したりすることで、正確な診断が難しくなる可能性があります。また、病院を受診するタイミングが遅れてしまうことで、治療の開始が遅れるリスクもあります。
- 痛みの増強: 無理に潰そうとすると、かえって痛みが強くなり、炎症がさらに悪化する原因となります。
特に、痛みを伴っているしこりは、すでに内部で炎症が起きている可能性が高く、自分で触ったり潰したりすることは、火に油を注ぐようなものです。
背中にできたしこりが気になる場合は、自己判断で対処しようとせず、必ず医療機関を受診し、専門医の診断と適切な処置を受けるようにしましょう。医師は、しこりの種類に応じて、切開排膿、抗生物質の処方、手術による摘出など、最も安全で効果的な治療法を選択してくれます。
背中のしこり、病院受診の目安と適切な診療科
背中のしこりを見つけたとき、多くの人が「これは病院に行くべきか?」と悩むでしょう。ほとんどの背中のしこりは良性であり、すぐに治療が必要ない場合も多いですが、中には専門的な診断や治療が必要なケースもあります。ここでは、どのような症状があれば病院を受診すべきか、そして何科に行けば良いのかについて解説します。
すぐに医療機関を受診すべき症状
以下のような症状が見られる場合は、迷わずにできるだけ早く医療機関を受診してください。これらの症状は、炎症が強い場合や、まれに悪性の可能性も考えられるため、専門医による診断が必要です。
- しこりが急激に大きくなった:短期間(数週間〜数ヶ月)で明らかにサイズが大きくなった場合。
- 痛みが強い、または痛みが強くなってきた:しこりに触れなくても痛む、あるいは以前は痛まなかったのに痛むようになった場合。
- しこりが赤く腫れている、熱を持っている:炎症が強く起きているサインです。
- しこりの表面から出血している、膿が出ている、ただれている:感染や表面の変化が見られる場合。
- しこりが周囲の皮膚や組織に固定されていて動かない:良性のしこりは動くことが多いですが、悪性の場合は周囲に浸潤して固定されることがあります。
- しこりが硬く、境界がはっきりしない:悪性の特徴である可能性があります。
- しこり以外に、発熱や倦怠感などの全身症状がある:炎症や感染が全身に及んでいるか、他の病気が隠れている可能性。
- 同じ場所に何度も繰り返しできる、あるいは増えてきている:慢性的な炎症や、特定の疾患の可能性。
- 見た目や感触が今まで経験したことのないような、いつもと違うしこりである:ご自身の感覚も大切にしましょう。
これらの症状がない場合でも、しこりがあること自体が心配で、不安を感じる場合は、安心して過ごすためにも一度専門医に相談することをおすすめします。
何科を受診すれば良いか(皮膚科、形成外科、外科)
背中のしこりの診療は、主に以下の診療科で行われます。しこりの種類や状態によって、適切な診療科が異なりますが、まずは皮膚科を受診するのが一般的です。
診療科 | 特徴と診察内容 |
---|---|
皮膚科 | 皮膚や皮膚付属器(毛、爪、汗腺など)の疾患全般を専門とする科です。ニキビ、毛嚢炎、粉瘤、皮膚線維腫、ケロイド、皮膚がんなど、皮膚表面に近いしこりの診断・治療に最も適しています。まずは皮膚科を受診し、診断をつけてもらうのが良いでしょう。 |
形成外科 | 体表面の形や機能の異常を修復・再建する外科系の診療科です。粉瘤や脂肪腫など、手術による切除が必要な良性腫瘍の治療を得意としています。整容的な観点も考慮して手術を行ってくれます。皮膚科で診断を受けた後に、手術が必要と判断された場合に紹介されることもあります。 |
外科 | 体内の病変を手術で治療する科です。皮膚や皮下組織の深い部分にできた大きな脂肪腫や、悪性腫瘍の可能性が考えられる場合に、外科的な処置や手術が必要となることがあります。皮膚科や形成外科から紹介されることが多いです。 |
ご自身で判断に迷う場合は、まずは一般的な皮膚科を受診し、そこで適切な診療科への案内を受けるのが最もスムーズな流れと言えるでしょう。
まとめ:気になる背中のしこりは専門医へ相談を
背中にできた押すと痛いしこりについて、その主な原因、痛みを伴う代表的な良性疾患、痛みがなくても注意が必要なケース、悪性腫瘍の見分け方、そして病院を受診する目安や適切な診療科について解説しました。
背中のしこりの多くは、粉瘤や脂肪腫、ニキビなどの良性のものであり、過度に心配する必要はありません。痛みを伴う場合も、炎症が原因であることが多く、適切な治療で改善が見込めます。しかし、まれに悪性腫瘍の可能性もゼロではありません。
重要なのは、「急激な大きさの変化」「痛みの増強」「しこりの固定」「表面の変化」といった要注意なサインを見逃さないことです。これらの症状が見られる場合や、しこりがあること自体に不安を感じる場合は、決して自己判断で放置したり、自分で潰したりせず、必ず医療機関を受診してください。
まずは皮膚科を受診し、専門医の診断を受けることをお勧めします。医師はしこりの種類を正確に判断し、必要に応じて適切な治療法(薬物療法、切開排膿、手術など)を提案してくれます。
背中は自分で見えにくい場所だからこそ、少しでも気になるしこりを見つけたら、勇気を出して専門医に相談することが、安心して健康な毎日を送るための第一歩です。
免責事項:本記事の情報は一般的な知識を提供するものであり、個々の症状に対する医学的な診断や治療を保証するものではありません。背中のしこりについて不安がある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。