【皮膚そう痒症】つらいかゆみ、その原因と治し方|病院行くべき?

皮膚そう痒症は、肌に目に見える発疹や皮膚病変がないにもかかわらず、強いかゆみを感じる状態を指します。このかゆみは非常に不快で、日常生活や睡眠にまで支障をきたすことがあります。乾燥が原因であることが多い一方で、時には全身の病気が隠れているサインであることもあります。この記事では、皮膚そう痒症の原因、具体的な症状、効果的な治療法、そしてご自身でできる対策から、どのような場合に医療機関を受診すべきかまで、詳しく解説します。つらいかゆみにお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。適切な知識を得て、専門医に相談することで、かゆみの悩みが軽減されることが期待できます。

皮膚そう痒症とは?

皮膚そう痒症は、医学的には「皮膚に原発疹(かゆみの原因となる目に見える皮膚病変)がないのにかゆみを感じる状態」と定義されます。簡単に言うと、見た目はきれいなのに、とにかくかゆいという症状です。湿疹やかぶれ、蕁麻疹など、皮膚に異常が見られるかゆみとは区別されます。

日本皮膚科学会の皮膚瘙痒症診療ガイドライン2020では、皮膚瘙痒症について以下のように述べられています。

皮膚瘙痒症は発疹を認めないにもかかわらず痒みを訴える疾患である.全身に痒みを生じる汎発性皮膚瘙痒症は腎不全,肝障害,血液疾患をはじめとする種々の全身疾患に伴い認められる.本ガイドラインでは診断基準や治療アルゴリズムを提示し,全身性瘙痒症の評価に際しては基礎疾患の検索が不可欠であることを強調している.

(引用元:皮膚瘙痒症診療ガイドライン 2020

皮膚に発疹がないのになぜかゆい?

皮膚そう痒症のかゆみは、皮膚そのものの問題だけでなく、全身の病気や神経系の異常、精神的な要因など、様々な原因によって引き起こされます。皮膚には「かゆみセンサー」ともいえる神経が張り巡らされており、特定の刺激(乾燥、化学物質、温度変化など)や体内からの信号(特定の物質の増加など)がこの神経を介して脳に伝わることで「かゆい」と感じます。皮膚そう痒症の場合、このかゆみセンサーや信号伝達のシステムに何らかの異常が生じていると考えられています。見た目の皮膚に問題がなくても、皮膚の内側や全身の状態が複雑に関与してかゆみを引き起こすため、原因の特定が難しい場合も少なくありません。

高齢者に多い老人性そう痒症

皮膚そう痒症の中でも、特に高齢者によく見られるのが「老人性そう痒症」です。加齢に伴い、皮膚の生理機能は様々な変化を経験します。特に顕著なのが、皮膚のバリア機能の低下と乾燥です。

公益財団法人長寿科学振興財団の健康長寿ネットによると、老人性乾皮症(高齢者における皮膚そう痒症の主要因の一つ)は以下のように説明されています。

老人性乾皮症とは加齢に伴い皮脂や汗の分泌が減少し,皮膚の角層の水分保持機能が低下することで生じる乾燥状態である.皮膚に浅い亀裂や鱗屑を伴い,掻痒を引き起こす.高齢者における瘙痒の主要因であり,冬季の悪化が典型的である.治療の基本は保湿剤によるスキンケアであり,湿疹化した場合にはステロイド外用剤を短期間使用する.日常生活では加湿や刺激回避が重要である.

(引用元:老人性乾皮症|健康長寿ネット

年を重ねると、皮脂腺や汗腺の機能が衰え、皮脂や汗の分泌量が減少します。これにより、皮膚表面を保護する皮脂膜が薄くなり、皮膚の水分が蒸発しやすくなります。また、角質層の細胞間脂質なども減少し、水分を保持する能力が低下するため、皮膚全体が乾燥しやすくなります。

乾燥した皮膚は、外部からの刺激(衣類の摩擦、温度変化など)に対して敏感になり、かゆみを感じやすくなります。さらに、加齢によって皮膚の神経線維が変化し、かゆみを感じやすくなることも指摘されています。

老人性そう痒症のかゆみは、特に空気の乾燥する冬場に悪化する傾向があります。脛(すね)や太もも、背中など、皮脂腺が少ない部位に現れやすいのも特徴です。夜間に体が温まるとかゆみが強くなり、睡眠を妨げられることも少なくありません。

老人性そう痒症の多くは、適切なスキンケア、特に保湿によって症状を和らげることができます。しかし、保湿だけでは改善しない場合や、全身にかゆみが広がる場合は、他の原因が隠れている可能性もあるため、医療機関への相談が重要です。

皮膚そう痒症の主な原因

皮膚そう痒症の原因は多岐にわたります。皮膚の乾燥のように比較的軽微なものから、全身の重要な病気が隠れている場合まで様々です。原因を正確に特定することが、適切な治療への第一歩となります。

皮膚の乾燥

皮膚の乾燥は、皮膚そう痒症の最も一般的な原因です。健康な皮膚は、皮脂膜や角質層の細胞間脂質によってバリア機能が保たれ、水分の蒸発を防ぎ、外部からの刺激やアレルゲンの侵入を防いでいます。しかし、このバリア機能が低下すると、皮膚の水分量が減少し、乾燥が進みます。

皮膚が乾燥すると、神経線維が刺激に対して過敏になり、わずかな刺激でもかゆみを感じやすくなります。特に、空気の乾燥する季節(秋から冬)、湿度管理が不十分な室内、頻繁な入浴や熱すぎるお湯、洗浄力の強い石鹸の使用などは、皮膚の乾燥を悪化させる要因となります。

加齢による皮脂分泌の減少や、アトピー性皮膚炎などのアレルギー体質も乾燥しやすい皮膚の原因となります。乾燥によるかゆみは、見た目の発疹がほとんどなく、かきむしることで初めて湿疹や傷ができるのが特徴です。

内科的疾患が原因の場合

皮膚そう痒症は、時に全身の病気が原因となって生じることがあります。このようなかゆみは、皮膚自体に明らかな病変がないにもかかわらず、体内で生じた異常物質や神経系の影響によって引き起こされます。内科的疾患に伴うかゆみは、全身に及ぶことが多く、持続的で強いかゆみを感じやすい傾向があります。

がんが関連している可能性

悪性腫瘍(がん)の一部は、皮膚そう痒症を引き起こすことがあります。特に、血液のがん(悪性リンパ腫、白血病など)や、固形がんの一部(膵臓がん、胃がん、脳腫瘍など)に関連してかゆみが生じることが報告されています。がんに関連するかゆみは、病変部位とは無関係に全身に現れることが多く、進行に伴ってかゆみが増強することがあります。これは、腫瘍から放出される特定の物質が神経を刺激したり、免疫系の反応を介したりすることで生じると考えられています。ただし、かゆみだけで直ちにごんを疑う必要はありません。 がんによるかゆみは比較的稀であり、他の様々な原因をまず検討することが一般的です。しかし、原因不明の強いかゆみが続く場合や、体重減少、倦怠感、リンパ節の腫れなど、他のがんを示唆する症状を伴う場合は、医療機関で詳しく検査を受けることが重要です。

腎臓病・肝臓病・糖尿病など

特定の内科的疾患は、皮膚そう痒症の重要な原因となります。

  • 慢性腎臓病(腎不全): 特に透析を受けている患者さんによく見られるかゆみで、「尿毒症性そう痒症」と呼ばれます。腎臓の機能が低下すると、体内の老廃物や毒素が十分に排泄されず体内に蓄積します。これらの物質が神経を刺激したり、免疫系の異常を引き起こしたりすることで強いかゆみが生じると考えられています。かゆみは全身に及びやすく、夜間に悪化する傾向があります。
  • 肝臓病: 胆汁の流れが悪くなる「胆汁うっ滞」を伴う肝臓病(原発性胆汁性胆管炎、肝硬変など)でも強いかゆみが生じます。これは、胆汁中に含まれる胆汁酸などの物質が血中に増加し、皮膚の神経を刺激するためと考えられています。黄疸(皮膚や白目が黄色くなる症状)を伴うことが多いですが、かゆみが先行することもあります。
  • 糖尿病: 糖尿病自体が直接かゆみを引き起こすこともありますが、関連する様々な要因がかゆみの原因となります。高血糖による末梢神経障害は、神経の機能異常をきたしかゆみとして感じられることがあります。また、糖尿病患者さんは皮膚が乾燥しやすい傾向があり、これもかゆみの原因となります。さらに、免疫機能の低下により皮膚感染症(真菌感染など)を起こしやすく、それがかゆみにつながることもあります。
  • 内分泌疾患: 甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症なども、皮膚そう痒症の原因となることがあります。
  • 血液疾患: 鉄欠乏性貧血や真性多血症でもかゆみが見られることがあります。真性多血症では、入浴などで体が温まるとかゆみが強くなる「温熱性そう痒」が特徴的です。

これらの内科的疾患によるかゆみは、皮膚科的な治療だけでは限界があり、原因となっている病気の治療が不可欠です。

神経障害性掻痒

神経障害性掻痒は、皮膚自体ではなく、かゆみの信号を伝える神経系に異常が生じることで起こるかゆみです。神経が損傷したり圧迫されたりすることで、実際にはかゆみの原因となる刺激がないのに、神経が異常な信号を脳に送り、「かゆみ」として認識させてしまいます。

具体的な原因としては、

  • 帯状疱疹後神経痛: 帯状疱疹が治った後も、ウイルスによって損傷を受けた神経に沿って痛みやかゆみが持続することがあります。
  • 脊髄疾患や脳疾患: 脊髄や脳の病変(腫瘍、梗塞、出血など)が、かゆみの伝達経路に影響を与え、特定部位のかゆみを引き起こすことがあります。例えば、脳腫瘍が原因で、ある特定の部位だけが強烈にかゆいといった症例が報告されています。
  • 神経の圧迫: 末梢神経が外部から圧迫されることでもかゆみが生じることがあります。

神経障害性掻痒のかゆみは、チクチク、ピリピリ、灼熱感といった独特の性質を持つことがあり、掻いてもかゆみが治まらない、むしろ悪化するといった特徴があります。従来の抗ヒスタミン薬が効きにくい場合があり、神経の痛みに用いられる薬剤などが有効なことがあります。

薬剤性そう痒症

特定の薬剤を服用したり使用したりすることで、副作用として全身性または局所性のかゆみが生じることがあります。これを薬剤性そう痒症と呼びます。薬の種類によってかゆみの生じるメカニズムは異なりますが、免疫反応を介するものや、直接神経を刺激するものなどがあります。

薬剤性そう痒症を引き起こす可能性のある薬剤は多岐にわたりますが、代表的なものには以下のようなものがあります。

  • オピオイド鎮痛薬: モルヒネなど、痛みを抑えるために使用される薬剤は、脳内でかゆみを感じやすくする作用があります。
  • 抗生物質: 特に特定の種類の抗生物質は、アレルギー反応としてかゆみや発疹を引き起こすことがあります。
  • 降圧剤: 特にACE阻害薬と呼ばれる種類の降圧剤は、副作用として咳とともに皮膚のかゆみを引き起こすことがあります。
  • コレステロール降下薬: スタチン系薬剤などでかゆみが報告されることがあります。
  • 造影剤: 検査で用いられる造影剤へのアレルギー反応として、かゆみや蕁麻疹が生じることがあります。
  • 抗がん剤: 特定の種類の抗がん剤は、副作用として皮膚の乾燥やかゆみを引き起こすことがあります。

薬剤性そう痒症の場合、原因薬剤の特定と中止が最も重要です。ただし、自己判断で薬を中止するのは危険な場合があるため、必ず処方した医師や薬剤師に相談するようにしてください。

ストレスとの関連性

心因性のかゆみ、あるいはストレスによって悪化する皮膚そう痒症も存在します。精神的なストレスや不安、うつ状態などは、自律神経系や免疫系に影響を与え、かゆみを引き起こしたり、既存のかゆみを増強させたりすることがあります。

かゆみは、掻くことで一時的に解放感を得られますが、掻く行為そのものが皮膚を傷つけ、さらなるかゆみや炎症を引き起こす「かゆみ-掻破の悪循環」に陥りやすい症状です。精神的な要因が関与している場合、この悪循環から抜け出すことが難しくなることがあります。

特に、検査をしても明らかな身体的な原因が見つからない特発性そう痒症の場合、ストレスや心理的な要因が関与している可能性を考慮する必要があります。ストレスマネジメント、リラクゼーション、場合によっては心療内科や精神科での治療が有効なケースもあります。

原因が特定できない場合

様々な検査を行っても、皮膚そう痒症の明確な原因が特定できない場合があります。これを「特発性そう痒症」と呼びます。高齢者に多く見られ、全身性の強いかゆみが特徴ですが、特定の部位に限局することもあります。

特発性そう痒症は、皮膚の老化による乾燥、神経線維の変化、微細な炎症、そして心理的な要因などが複雑に絡み合って生じていると考えられていますが、そのメカニズムは完全に解明されていません。

原因が特定できない場合でも、かゆみそのものを和らげる対症療法を行うことで、患者さんの苦痛を軽減することは可能です。保湿ケア、抗ヒスタミン薬の内服、場合によっては他の種類の薬剤や光線療法などが用いられます。原因不明だからと諦めずに、専門医に相談し、かゆみをコントロールするための治療法を一緒に探していくことが大切です。

皮膚そう痒症の症状

皮膚そう痒症の最も特徴的な症状は「かゆみ」です。しかし、そのかゆみの性質や現れ方、他の症状の有無は、原因によって異なります。

かゆみの特徴と他の症状

皮膚そう痒症のかゆみは、チクチク、ムズムズ、ピリピリ、ジンジン、または説明しがたい不快感として感じられることがあります。通常、皮膚に目に見える発疹や蕁麻疹などの病変を伴いません。これが、アトピー性皮膚炎や湿疹など、他の皮膚疾患によるかゆみとの大きな違いです。

しかし、強いかゆみを掻きむしってしまうことで、二次的な皮膚病変が生じることがあります。

  • 掻破痕(そうはこん): 爪で引っ掻いた傷跡。線状や点状の赤みや出血が見られます。
  • 湿疹化: 掻き続けることで皮膚が炎症を起こし、赤み、小さなブツブツ(丘疹)、ジュクジュクした状態(びらん)が生じます。
  • 苔癬化(たいせんか): 慢性的に掻き続けることで皮膚が厚く硬くなり、皮溝が目立つようになります。象の皮膚のように見えることがあります。
  • 色素沈着/脱失: 炎症後や掻破により、皮膚の色が濃くなったり(色素沈着)、逆に白くなったり(色素脱失)することがあります。

これらの二次的な変化は、かゆみの「結果」として生じるものであり、皮膚そう痒症の「原因」ではありません。しかし、これらの病変自体がかゆみをさらに増強させる悪循環を生むこともあります。

かゆみの現れ方は、原因によって様々です。

  • 全身性 vs 局所性: 全身の内科的疾患や薬剤性のかゆみは全身に及ぶことが多いですが、神経障害性掻痒や老人性そう痒症の一部は特定の部位に限局することもあります。
  • 時間帯: 夜間、体が温まったとき、入浴後などに特にかゆみが強くなることがあります。これは、夜間は覚醒度が下がりかゆみを感じやすくなること、体温上昇で血管が拡張し神経が刺激されやすくなることなどが関与しています。内科的疾患によるかゆみも、特定の時間帯に悪化しやすい特徴を持つ場合があります。
  • 季節: 乾燥が原因の場合は、湿度が低下する冬場に悪化しやすいです。

皮膚そう痒症は、かゆみ以外の症状を伴わないことが基本ですが、原因となっている病気によっては、かゆみとともに他の全身症状が現れることがあります。例えば、肝臓病によるかゆみでは黄疸、腎臓病ではむくみや倦怠感、悪性リンパ腫ではリンパ節の腫れや発熱、体重減少などがみられることがあります。かゆみだけでなく、他の症状にも注意を払うことが、原因を見つける上で非常に重要です。

同じところがずっと痒い場合

皮膚そう痒症のかゆみが、体の特定の部位、例えば背中の中央、下腿の前面、腕の外側などに限局し、慢性的に続く場合があります。このような局所性のそう痒症は、いくつかの原因が考えられます。

  • 神経障害性掻痒: 帯状疱疹後神経痛や、脊髄・脳の病変が原因で、特定の神経支配領域にかゆみが生じることがあります。この場合、皮膚の見た目は全く正常であることが多いです。
  • 老人性そう痒症の局所型: 加齢に伴う皮膚の変化により、特定の部位(特に皮脂腺が少ない乾燥しやすい部位)にかゆみが集中することがあります。
  • 皮膚のアミロイドーシスなど: 皮膚に異常なタンパク質が沈着する病気などで、かゆみを伴う病変が特定の部位に生じることがあります。ただし、この場合は皮膚にざらつきなどの変化が見られることが多いです。
  • 慢性的な刺激や圧迫: 特定の衣類や装具による慢性的な摩擦や圧迫が、その部位の神経を過敏にさせてかゆみを引き起こすこともあります。

同じところがずっと痒いという場合、単なる乾燥だけでなく、その部位に関連する神経や体内の異常が原因である可能性も考慮する必要があります。自己判断で掻き続けると、その部位の皮膚が厚く硬くなる苔癬化を招き、かゆみがさらに慢性化してしまうことがあります。局所性の、しつこいかゆみも、一度医療機関で相談することをおすすめします。

皮膚そう痒症の治療法・治し方

皮膚そう痒症の治療は、その原因によって大きく異なります。原因を特定し、それに応じた治療を行うことが、かゆみの根本的な解決につながります。同時に、つらいかゆみを和らげるための対症療法も行われます。

原因となる病気の治療

内科的疾患(腎臓病、肝臓病、糖尿病、血液疾患、悪性腫瘍など)が皮膚そう痒症の原因となっている場合は、まずその病気自体を治療することが最も重要です습니다。例えば、慢性腎臓病によるかゆみであれば、適切な透析療法や内服薬による治療、肝臓病によるかゆみであれば、胆汁の流れを改善する治療などがかゆみの軽減につながります。薬剤性そう痒症の場合は、原因となっている薬剤の中止や代替薬への変更が第一選択となります。これらの治療は、皮膚科だけでなく、かゆみの原因となっている病気の専門医(内科医、腎臓内科医、消化器内科医、血液内科医など)と連携して行われることが一般的です。原因疾患の治療が進めば、かゆみも自然に改善していくことが期待できます。

かゆみを抑える対症療法

原因疾患の治療と並行して、または原因が特定できない特発性そう痒症の場合には、つらいかゆみを和らげるための対症療法が行われます。

内服薬(抗ヒスタミン剤など)

皮膚そう痒症の対症療法として、最もよく使用されるのが内服薬です。

  • 抗ヒスタミン剤: かゆみのメカニズムに関わるヒスタミンの働きを抑える薬です。第一世代抗ヒスタミン薬は、眠気や口の渇きなどの副作用が出やすいですが、かゆみを抑える効果が高いものや、夜間のQOL改善に有効な場合があります。第二世代抗ヒスタミン薬は、比較的眠気や口の渇きが少なく、日常生活への影響が少ないため、日中の使用に適しています。様々な種類の抗ヒスタミン薬があり、患者さんの体質や症状、副作用の出方などを考慮して適切な薬剤が選択されます。
  • 抗アレルギー薬: 抗ヒスタミン作用以外にも、様々なアレルギー反応や炎症に関わる物質の放出を抑える作用を持つ薬剤です。
  • その他: 腎臓病や肝臓病など、特定の原因によるかゆみには、従来の抗ヒスタミン薬が効きにくい場合があります。その際には、かゆみの伝達に関わる他の物質に作用する薬剤(μ-オピオイド受容体拮抗薬など)、神経の痛みに用いられる薬剤(ガバペンチノイドなど)、抗不安薬、漢方薬などが検討されることがあります。

内服薬は、医師の診断のもと、用法・用量を守って正しく服用することが重要です。

外用薬(保湿剤・ステロイド剤など)

外用薬は、皮膚の状態を整えたり、皮膚表面のかゆみを抑えたりするために使用されます。

  • 保湿剤: 皮膚そう痒症、特に乾燥が原因の場合には、保湿剤が治療の基本となります。保湿剤は皮膚のバリア機能を補い、水分の蒸発を防ぎ、外部刺激から皮膚を保護することでかゆみを軽減します。ヘパリン類似物質含有製剤、ワセリン、尿素含有クリーム、セラミド含有クリームなど、様々な種類があります。かゆみが強い場合でも、まずは保湿をしっかり行うことが重要です。
  • ステロイド外用剤: 皮膚そう痒症は発疹がないことが基本ですが、掻きむしることで湿疹化している場合には、炎症を抑えるためにステロイド外用剤が短期間処方されることがあります。しかし、皮膚そう痒症自体に対するステロイドの効果は限定的であり、漫然と長期間使用することは副作用のリスクを高めるため避けるべきです。
  • 非ステロイド性抗炎症外用薬: ステロイド以外の抗炎症作用を持つ外用薬が使用されることもあります。
  • その他: 局所麻酔成分や抗ヒスタミン成分を含んだかゆみ止めクリームやローションが、一時的なかゆみ緩和に用いられることもあります。メントールやカンフルなどの清涼成分は、かゆみを感じる神経を鈍らせることで一時的にかゆみを和らげますが、乾燥を招く場合があるため注意が必要です。

適切な外用薬の種類や使用量、塗る頻度は、皮膚の状態や原因によって異なります。医師や薬剤師の指示に従って使用しましょう。

その他の治療法

内服薬や外用薬で効果が不十分な場合や、特定の原因による皮膚そう痒症に対しては、以下のような治療法が検討されることがあります。

  • 光線療法(紫外線療法): 特定の波長の紫外線を皮膚に照射することで、かゆみを引き起こす物質の働きを抑えたり、免疫系の過剰な反応を鎮めたりする効果が期待できます。特に、慢性腎臓病や肝臓病に伴うそう痒症、原因不明のそう痒症などに有効な場合があります。医療機関で専門的な機器を用いて行われます。
  • 神経ブロック: 神経障害性掻痒で特定の部位のかゆみが強い場合、関連する神経に対して神経ブロック注射を行うことでかゆみが軽減されることがあります。
  • 認知行動療法など: ストレスや心理的な要因が強く関与している場合や、「かゆみ-掻破の悪循環」を断ち切るために、心理的なアプローチが有効な場合があります。

これらの治療法は、患者さんの症状や状態に応じて医師が判断し、実施されます。

日常生活での注意点・対策

皮膚そう痒症の治療は医療機関で行うことが基本ですが、日々の生活の中でご自身で行える対策も、かゆみを和らげ、症状の悪化を防ぐ上で非常に重要です。特に乾燥が原因の場合は、セルフケアが症状改善の鍵となります。

正しいスキンケア(保湿の重要性)

皮膚そう痒症対策において、最も基本的かつ重要なのが保湿です。乾燥した皮膚はバリア機能が低下し、かゆみを感じやすくなっています。適切な保湿を行うことで、皮膚のバリア機能を補い、かゆみの発生を抑えることができます。

  • 保湿剤の選び方: 医療機関で処方された保湿剤はもちろん、市販のものでも構いません。ワセリンのような油分主体のもの(皮膚表面に膜を作り水分の蒸発を防ぐ)、ヘパリン類似物質やセラミドなどを配合したローションやクリーム(角質層に水分を保持する)、尿素を配合したクリーム(硬くなった角質を柔らかくし、保湿効果もあるが、傷があるとしみる場合がある)など、様々な種類があります。ご自身の肌質や乾燥の程度、使用感の好みなどに合わせて選びましょう。べたつきが気になる場合は、ローションタイプやジェルタイプから試してみるのも良いでしょう。
  • 保湿剤を塗るタイミング: 最も効果的なのは、入浴後、体が温まり皮膚が水分を吸収しやすい状態のうちに、タオルで優しく水分を拭き取った直後(目安として5分以内)です。朝の洗顔後や、空気が乾燥していると感じた時、かゆみを感じる前など、こまめに塗ることも大切です。
  • 保湿剤の塗り方: 擦り込むのではなく、手のひらで優しく押さえるようにして、皮膚になじませます。かゆみがある部位だけでなく、乾燥しやすい全身に塗るのが理想です。特に脛、太もも、背中、腕の外側など、乾燥しやすい部位は重点的に塗りましょう。
  • 保湿剤の使用量: ケチらず、十分な量を使用することが重要です。全身に塗る場合、大人の場合で1回あたり約20~30g(チューブから人差し指の先から第一関節まで出した量×9本分を目安に「9FTU」と表現されることもあります)が目安とされています。足りないと十分な効果が得られません。

毎日、根気強く保湿を続けることが、皮膚そう痒症の症状軽減につながります。

入浴方法の工夫

普段の入浴方法を見直すことも、皮膚の乾燥やかゆみ対策に有効です。

  • お湯の温度: 熱すぎるお湯(40℃以上)は、皮膚の天然の保湿成分である皮脂を洗い流し、乾燥を悪化させます。ぬるめのお湯(38℃~39℃程度)に浸かるようにしましょう。
  • 入浴時間: 長時間の入浴も皮膚を乾燥させることがあります。10分~15分程度の短い入浴にとどめましょう。
  • 洗い方: ナイロンタオルや硬いスポンジでゴシゴシ洗うのは絶対に避けましょう。皮膚のバリア機能を傷つけ、乾燥やかゆみを悪化させます。手や柔らかいタオルで、石鹸をよく泡立てて優しくなでるように洗います。
  • 石鹸の使用: 石鹸は皮脂を洗い流す作用があります。体を洗う際に石鹸を使うのは、脇や股など汚れやすい部位だけにとどめ、他の部分は軽く流すだけでも十分な場合が多いです。洗浄力のマイルドな石鹸(弱酸性、無添加、保湿成分配合など)を選ぶと良いでしょう。
  • 入浴剤: 保湿成分(セラミド、スクワランなど)や、肌荒れ防止成分(グリチルリチン酸ジカリウムなど)が配合された入浴剤は、お湯に浸かることで皮膚の乾燥を防ぎ、かゆみを和らげる効果が期待できます。炭酸ガス系の入浴剤も血行促進効果があり、リラックス効果とともに症状緩和に役立つことがあります。
  • 入浴後の保湿: 入浴で温まった皮膚は、水分が蒸発しやすく乾燥しやすい状態です。入浴後はタオルで優しく水分を拭き取ったら、すぐに保湿剤を塗ることを習慣にしましょう。

刺激を避けるポイント

皮膚そう痒症のかゆみは、様々な刺激によって誘発されたり悪化したりします。日常生活で刺激を避ける工夫も重要です。

  • 衣類: 羊毛や合成繊維など、肌触りがチクチクする素材の衣類は、皮膚への刺激となりかゆみを誘発することがあります。肌に直接触れるものは、綿や絹などの柔らかく吸湿性の良い天然素材を選びましょう。締め付けのきつい下着なども避けるのが無難です。
  • 洗剤や柔軟剤: 衣類に残った洗剤や柔軟剤の成分が皮膚を刺激することがあります。肌に優しい洗剤を選んだり、すすぎをしっかり行ったりすることを心がけましょう。柔軟剤の使用を控えることで改善することもあります。
  • 温度と湿度: 急激な温度変化や、低すぎる湿度は皮膚の乾燥を招き、かゆみを悪化させます。室温を快適に保ち、特に冬場やエアコン使用時は加湿器などで湿度(目安として40%~60%)を保つようにしましょう。体が温まりすぎるとかゆみが増すことがあるため、厚着のしすぎにも注意が必要です。
  • 掻かない工夫: かゆいからといって掻いてしまうと、皮膚が傷つき、かゆみ物質が放出されて、さらなるかゆみを引き起こす悪循環に陥ります。爪を短く切っておく、無意識に掻かないように寝る時に手袋を着用するなどの工夫が有効です。どうしてもかゆいときは、冷たいタオルで冷やしたり、保湿剤を優しく塗り直したりすることでかゆみが和らぐことがあります。
  • ストレスマネジメント: ストレスがかゆみを悪化させる場合があるため、適度な休息、十分な睡眠、趣味などでリラックスする時間を持つなど、ストレスを溜め込まない工夫も大切です。

市販薬の選び方と注意点

皮膚そう痒症で医療機関を受診する前に、市販のかゆみ止めを試してみる方もいらっしゃるでしょう。市販薬にも様々な種類がありますが、皮膚そう痒症の場合は選び方に注意が必要です。

市販のかゆみ止めには、主に以下のような成分が含まれています。

成分の種類 主な作用 皮膚そう痒症への適性 注意点
抗ヒスタミン成分 かゆみ物質(ヒスタミン)の働きを抑える 多くの皮膚そう痒症の原因に関与するヒスタミンの作用を抑えるため、有効な場合がある。 内服薬は眠気を伴うことがある。外用薬は接触皮膚炎を起こす可能性がある。
ステロイド成分 皮膚の炎症を抑える 掻きむしりによる湿疹化には有効だが、発疹のない皮膚そう痒症自体には効果が限定的。 強さのランクがあり、漫然と使用すると皮膚が薄くなる、毛細血管が拡張するなどの副作用のリスクがある。顔やデリケートな部分への使用は注意が必要。
局所麻酔成分 神経伝達を遮断し、かゆみを感じにくくする 一時的なかゆみ緩和に有効。 持続的な効果は期待しにくい。接触皮膚炎を起こす可能性がある。
血行促進成分 血行を良くする 血行不良が原因の場合や、皮膚の代謝改善に役立つ可能性があるが、直接的なかゆみ止めではない。 刺激になることがある。
殺菌・消毒成分 細菌や真菌の増殖を抑える 感染が原因でかゆみがある場合に有効だが、皮膚そう痒症の根本原因には作用しない。 皮膚の常在菌バランスを崩したり、乾燥を招いたりする可能性がある。
保湿成分(尿素、グリセリンなど) 皮膚に潤いを与え、乾燥を防ぐ 乾燥が原因の皮膚そう痒症には最も重要かつ有効。 尿素高配合のものは傷があると刺激になることがある。
清涼成分(メントール、カンフルなど) 皮膚に冷感を与え、かゆみを紛らわせる 一時的なかゆみ緩和に有効だが、根本的な治療ではない。 乾燥を招く場合がある。敏感肌では刺激になることがある。

市販薬を選ぶ際の注意点:

  • まずは保湿を: 発疹がない皮膚そう痒症の場合は、まずは保湿剤をしっかり塗ることから始めましょう。保湿だけでもかゆみが軽減されることがあります。
  • 炎症がないならステロイドは不要: 見た目に赤みやブツブツなどの炎症がなければ、ステロイド成分配合の市販薬は必ずしも必要ありません。漫然と使用するのは避けましょう。
  • 原因不明の場合は一時しのぎ: 市販薬はあくまで対症療法であり、かゆみの根本原因を治療するものではありません。特に全身のかゆみや、長引くかゆみの場合は、市販薬でごまかさずに医療機関を受診し、原因を調べてもらうことが重要です。
  • 薬剤師に相談: どの市販薬を選べば良いか迷う場合や、使用上の注意点を確認したい場合は、薬局の薬剤師に相談しましょう。
  • 効果がなければ受診を: 数日から1週間程度市販薬を使用してもかゆみが改善しない、または悪化する場合は、自己判断を続けずに医療機関を受診してください。

こんな時は病院へ(受診の目安)

皮膚そう痒症は、単なる肌の乾燥だけでなく、時に全身の重要な病気が隠れているサインである可能性があります。また、つらいかゆみを放置すると、掻きむしりによる皮膚の二次的な変化や、睡眠不足、精神的な苦痛など、様々な問題を引き起こします。以下のような場合は、早めに医療機関を受診し、専門医に相談することをおすすめします。

なかなか治らないつらいかゆみ

市販の保湿剤やスキンケアで改善が見られない、数週間以上にわたってつらいかゆみが続いている、日常生活(仕事、勉強、睡眠など)に支障が出ているといった場合は、皮膚科を受診しましょう。原因不明の特発性そう痒症や、乾燥以外の原因が隠れている可能性があります。適切な診断と治療を受けることで、つらいかゆみから解放されることが期待できます。

全身にかゆみがある

特定の部分だけでなく、全身に強いかゆみが広がっている場合は、内科的な病気が原因である可能性が高まります。先に述べたように、腎臓病、肝臓病、糖尿病、血液疾患、内分泌疾患、まれに悪性腫瘍などが原因で全身にかゆみが生じることがあります。全身性のかゆみは、皮膚科だけでなく、原因疾患を特定するために内科など他の専門科の受診も必要になる場合があります。日本皮膚科学会のガイドラインでも、全身性そう痒症の評価には基礎疾患の検索が不可欠であることが強調されています(皮膚瘙痒症診療ガイドライン 2020)。

他の症状を伴う場合

かゆみだけでなく、以下のような他の症状を伴う場合は、速やかに医療機関を受診してください。全身の病気が進行している可能性があります。

  • 発熱
  • 倦怠感、疲労感
  • 体重減少
  • 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
  • リンパ節の腫れ
  • 関節の痛み
  • 体の特定の部位のしびれや痛み(神経障害性掻痒が疑われる場合)
  • 原因不明の湿疹や皮疹

これらの症状は、かゆみの原因となっている内科的疾患の手がかりとなる重要なサインです。自己判断せず、必ず医師の診察を受けてください。皮膚科を受診した場合でも、内科的な原因が疑われれば、適切な診療科への紹介が行われます。

皮膚そう痒症に関するQ&A

皮膚そう痒症は治りますか?

皮膚そう痒症が完全に治るかどうかは、その原因によって異なります。

  • 原因が特定でき、治療可能な場合: 皮膚の乾燥が原因であれば、適切な保湿とスキンケアで改善・完治が期待できます。内科的疾患が原因であれば、その病気を治療することでかゆみも改善していくことが多いです。薬剤性そう痒症であれば、原因薬剤の中止で治癒します。
  • 原因が特定できない場合(特発性そう痒症)や、慢性的な原因の場合: 加齢による皮膚の変化や、神経系の慢性的な変化が関与している場合など、原因を完全に排除することが難しいケースでは、かゆみを完全にゼロにするのは難しいこともあります。しかし、このような場合でも、適切な治療法(内服薬、外用薬、光線療法など)や日常生活での工夫を組み合わせることで、かゆみを十分にコントロールし、日常生活への支障を軽減することは可能です。

大切なのは、原因を調べ、それに応じた治療とセルフケアを根気強く続けることです。

体の内側からかゆい原因と対処法は?

「体の内側からかゆい」「皮膚の表面ではなく、奥の方からかゆい感じがする」という表現で皮膚そう痒症のかゆみを訴える方がいらっしゃいます。このようなかゆみは、多くの場合、皮膚そのものの問題ではなく、全身性の病気や神経系の異常が原因で生じている可能性を示唆しています。

考えられる原因:

  • 内科的疾患: 腎臓病、肝臓病、糖尿病、血液疾患、内分泌疾患、悪性腫瘍など、体内で発生した異常物質が血流に乗って皮膚に運ばれ、神経を刺激する場合。
  • 神経障害性掻痒: 神経自体の損傷や機能異常により、かゆみの信号が脳に異常伝達される場合。
  • 薬剤性: 服用している薬の副作用として、全身にかゆみが現れる場合。
  • 特発性そう痒症: 様々な要因が複合的に関与し、体の内側から湧き上がるようなかゆみとして感じられる場合。

対処法:

このような「体の内側からのかゆみ」を感じる場合は、自己判断で市販薬を塗ったり掻きむしったりするだけでは根本的な解決になりません。

  1. 速やかに医療機関を受診する: 皮膚科で診察を受け、必要に応じて内科などの他の専門科とも連携して、かゆみの原因となっている病気がないか詳しく検査してもらうことが最も重要です。
  2. 医師の指示に従う: 原因が見つかれば、その病気の治療を優先します。原因が特定できない場合でも、かゆみを和らげるための適切な内服薬(従来の抗ヒスタミン薬が効かない場合に有効な薬剤もあります)や外用薬が処方されます。
  3. 日常生活での対策を継続する: 乾燥予防のための保湿、皮膚への刺激を避ける、ストレスを軽減するなどのセルフケアも、かゆみの軽減に役立ちます。

「体の内側からのかゆみ」は、見過ごせない体からのサインである可能性があります。放置せず、必ず医療機関で相談しましょう。

まとめ:つらい皮膚そう痒症は専門医に相談を

皮膚そう痒症は、見た目の皮膚に発疹がないにもかかわらず、強いかゆみが生じるつらい状態です。原因は単純な皮膚の乾燥から、内科的な病気、神経の異常、薬剤の副作用、ストレスなど、非常に多岐にわたります。

つらいかゆみを放置すると、掻きむしりによって皮膚が傷つき、さらなるかゆみや湿疹、苔癬化といった二次的な変化を招き、症状が慢性化してしまう可能性があります。また、全身性のかゆみや、かゆみ以外の症状を伴う場合は、体の重要な病気が隠れているサインかもしれません。日本皮膚科学会のガイドラインでも、全身性そう痒症の場合は基礎疾患の検索が重要であることが指摘されています(皮膚瘙痒症診療ガイドライン 2020)。

ご自身でできる保湿などのセルフケアも大切ですが、市販薬で対応しても改善しない場合や、原因がはっきりしない場合は、早めに医療機関、特に皮膚科を受診することをおすすめします。専門医であれば、皮膚の状態を詳しく診察し、必要な検査を行うことで、かゆみの正確な原因を特定し、一人ひとりに合った適切な治療法を提案してくれます。老人性乾皮症(高齢者のそう痒症の原因の一つ)の場合も、治療の基本は保湿剤によるスキンケアであり、必要に応じて医師の診断を受けることが推奨されています(老人性乾皮症|健康長寿ネット)。

皮膚そう痒症は、原因に応じた適切な治療を行うことで、かゆみが大きく軽減し、日常生活の質が向上することが期待できます。つらいかゆみに悩んでいる方は、抱え込まずに、ぜひ皮膚科の専門医に相談してみてください。

免責事項: 本記事は皮膚そう痒症に関する一般的な情報提供を目的としており、医学的なアドバイスや診断、治療を代替するものではありません。個々の症状については、必ず医師の診察を受け、適切な指導を仰いでください。本記事の情報に基づいて行われた行為によって生じたいかなる損害についても、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。