蜂窩織炎(ほうかしきえん)は、皮膚の深い部分に細菌が感染して起こる炎症性の病気です。
皮膚にできた小さな傷や虫刺されの痕、水虫などが原因で細菌が侵入し、真皮から皮下脂肪組織にかけて広がります。
放置すると炎症が進行し、重症化のリスクもあるため、適切な治療が非常に重要です。
この記事では、蜂窩織炎の主な治療法である抗生物質による薬物療法を中心に、原因や症状、治癒までの期間、重症化のリスク、そして日常生活でできる予防法まで、詳しく解説します。
もし蜂窩織炎かもしれないと思った場合の受診の目安やタイミングについても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
蜂窩織炎とは?
蜂窩織炎は、皮膚の特定の層に発生する細菌感染症です。
その定義と病態を理解することで、なぜ治療が重要なのかが見えてきます。
蜂窩織炎の定義と病態
蜂窩織炎は、皮膚の表層ではなく、その下にある真皮深層から皮下組織にかけて細菌が感染し、急性の炎症を引き起こす病気です。
皮膚の表面には通常、様々な細菌が存在していますが、これらが皮膚のバリアが破れた場所(傷、虫刺され、ひび割れ、水虫など)から侵入し、組織内で増殖することで発症します。
「蜂窩」とはハチの巣を意味し、炎症が皮下組織で網の目のように広がっていく様子からこの名前がつけられました。
炎症が進行すると、患部が赤く腫れ上がり、強い痛みや熱感を伴います。
また、細菌が血流に乗って全身に回ると、発熱や悪寒といった全身症状が現れることもあります。
単純な皮膚炎とは異なり、蜂窩織炎は細菌感染が原因であるため、自然に治ることは少なく、適切な抗菌薬による治療が必要となります。
早期に診断し、適切な治療を開始することが、症状の悪化や重症化を防ぐ上で非常に重要です。
蜂窩織炎の診断方法
蜂窩織炎の診断は、主に医師による視診と触診に基づいて行われます。
典型的な症状として、境界線がはっきりしない、触ると熱感があり、痛みと腫れを伴う紅斑(赤み)が確認されます。
多くの場合、これらの臨床症状から蜂窩織炎であると診断されます。
補助的な検査として、以下のようなものが行われる場合があります。
- 血液検査: 炎症の程度を調べるために、白血球数やCRP(C反応性タンパク)といった炎症マーカーの値を測定します。
これらの値が高い場合、体内で強い炎症が起きていることを示唆します。 - 画像検査: 必要に応じて、超音波検査やMRI検査が行われることがあります。
これは、膿瘍(膿が溜まった袋)の有無や、炎症がどの深さまで広がっているか、骨や関節への感染がないかなどを確認するために行われます。
特に深部や複雑な部位の感染、あるいは診断が難しい場合に有用です。 - 培養検査: 患部から滲出液や膿がある場合、それを採取して原因菌を特定するための培養検査が行われることがあります。
これにより、どの種類の細菌が感染しているかを特定し、最も効果的な抗生物質を選択するのに役立ちます。
ただし、培養検査で必ずしも原因菌が検出されるわけではありません。
これらの検査結果を総合的に判断し、医師が蜂窩織炎の診断を確定し、適切な治療方針を決定します。
蜂窩織炎の原因と症状
蜂窩織炎は細菌感染によって引き起こされますが、どのような細菌が関与し、どのように感染するのでしょうか。
また、どのような症状が現れるのか、そしてどのような人がかかりやすいのかを解説します。
蜂窩織炎の主な原因菌と感染経路
蜂窩織炎の原因となる細菌のほとんどは、私たちの皮膚や鼻の中に普段から存在している常在菌です。
しかし、皮膚のバリア機能が低下したり、傷口ができたりすると、これらの細菌が皮膚の深部へ侵入し、感染を引き起こします。
主な原因菌として挙げられるのは以下の通りです。
- 黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus): 最も頻繁に蜂窩織炎の原因となる細菌です。
皮膚や鼻腔に常在しており、小さな傷口から容易に侵入します。 - レンサ球菌 (Streptococcus pyogenes): 黄色ブドウ球菌に次いで多い原因菌です。
A群レンサ球菌とも呼ばれ、急速に広がる性質を持つことがあります。
これらの細菌は、以下のような経路で皮膚の深部に侵入します。
- 外傷・切り傷: 転倒による擦り傷、刃物での切り傷など、物理的に皮膚が損傷した場合。
- 虫刺され: 蚊やハチ、クモなどに刺された痕から細菌が侵入する。
- ひっかき傷: 動物にひっかかれたり、自分でかきむしったりした傷口。
- 水虫(足白癬): 水虫によって皮膚がひび割れ、バリア機能が低下した部分から細菌が侵入しやすい。
足の蜂窩織炎の原因として非常に多い。 - 手術痕: 手術後の傷口から感染する場合。
- 皮膚疾患: 湿疹、アトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が低下している場合。
- 注射痕: 注射や点滴、カテーテルなどの挿入部から感染する場合。
このように、非常に些細な皮膚の傷や状態の変化が、蜂窩織炎の感染経路となることがあります。
蜂窩織炎の初期症状と進行
蜂窩織炎の症状は、感染の初期段階から進行につれて変化します。
早期に気づくことが、適切な治療へと繋がります。
初期症状:
- 局所の赤み(紅斑): 患部の皮膚が赤くなります。
境界線がはっきりしないのが特徴です。 - 腫れ(浮腫): 患部がむくんだように腫れてきます。
- 熱感: 触ると熱を持っているように感じます。
- 痛み: 患部に触れたり、動かしたりすると痛みを感じます。
これらの症状は、感染した部位の皮膚に現れます。
多くの場合、足や腕に発症しますが、顔やその他の部位にも起こり得ます。
初期段階では、単なる虫刺されや軽度の皮膚炎と間違えられることもあります。
進行:
治療せずに放置したり、感染力が強い細菌であったりすると、症状は急速に進行することがあります。
- 紅斑の拡大: 赤みが急速に周囲に広がっていきます。
- 痛みの増強: 痛みが強くなり、ズキズキとした拍動性の痛みになることもあります。
- 全身症状:
- 発熱: 体温が上昇し、悪寒(ぞくぞくする寒気)を伴うことがあります。
- 全身倦怠感: だるさを感じます。
- リンパ節の腫れ: 感染部位に近いリンパ節(足なら鼠径部、腕なら脇など)が腫れて痛むことがあります。
- 水疱(水ぶくれ)や膿疱(膿をもったぶつぶつ)の出現: 炎症がひどくなると、患部に水ぶくれや膿が溜まったぶつぶつができることがあります。
- 紫斑の出現: さらに重症化すると、皮膚の下で出血が起こり、紫色のアザのような状態になることがあります。
症状の進行速度は個人差や原因菌によって異なりますが、特に全身症状が現れたり、紅斑が急速に拡大したりする場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。
蜂窩織炎になりやすい人・リスク因子
誰にでも起こりうる蜂窩織炎ですが、特定の状態や病気を持つ人は、そうでない人に比べて蜂窩織炎を発症するリスクが高まります。
これらのリスク因子を理解しておくことは、予防や早期発見に繋がります。
以下に、蜂窩織炎になりやすい人の特徴やリスク因子を挙げます。
- リンパ浮腫のある人: リンパ液の流れが悪くなると、組織液が滞留しやすくなり、細菌感染に対する防御機能が低下します。
術後や慢性的な疾患によるリンパ浮腫は、蜂窩織炎の大きなリスク因子です。 - 糖尿病の人: 糖尿病は免疫機能が低下しやすく、また末梢神経障害や血行障害を伴うことが多いため、感染症にかかりやすく、治りにくい傾向があります。
足の傷などから蜂窩織炎を発症しやすいです。 - 免疫抑制状態にある人: 抗がん剤治療を受けている、ステロイドを長期服用している、HIV感染症など、免疫機能が低下している人は、細菌に対する抵抗力が弱まり、感染しやすくなります。
- 静脈不全やうっ滞性皮膚炎のある人: 足の静脈の血流が悪くなると、むくみや皮膚の炎症(うっ滞性皮膚炎)が起こりやすくなり、皮膚のバリア機能が低下しやすくなります。
- 肥満: 肥満はリンパ液や血液の流れに影響を与えることがあり、蜂窩織炎のリスクを高める可能性があります。
- 高齢者: 高齢者は皮膚のバリア機能が低下しやすいことや、様々な基礎疾患を持っていることが多いことから、蜂窩織炎にかかりやすい傾向があります。
- 水虫(足白癬)のある人: 前述の通り、水虫による皮膚のひび割れや炎症は、細菌の侵入経路となります。
- 皮膚に傷や潰瘍がある人: 慢性的な傷や治りにくい潰瘍がある部位は、常に細菌が侵入しやすい状態です。
- 過去に蜂窩織炎にかかったことがある人: 一度蜂窩織炎にかかると、同じ部位や他の部位で再発するリスクが高まります。
これらのリスク因子に当てはまる方は、日頃から皮膚の状態に注意を払い、小さな傷や異変にも気づけるようにすることが大切です。
蜂窩織炎の治療法
蜂窩織炎の治療の柱は、原因となっている細菌を排除するための薬物療法です。
しかし、それ以外にも炎症を抑えたり、膿瘍に対処したりするための治療法があります。
抗生物質による薬物療法が基本
蜂窩織炎は細菌感染症であるため、治療の基本は抗生物質(抗菌薬)を使用することです。
抗生物質は細菌の増殖を抑えたり、死滅させたりすることで感染を鎮静化させます。
自己判断で市販の塗り薬などを使用しても効果はなく、医師の処方による抗生物質が必須となります。
治療が遅れたり、不適切な抗生物質が使用されたりすると、細菌が体内で増殖し続け、炎症が拡大し、全身に感染が広がる(敗血症など)リスクが高まります。
そのため、蜂窩織炎が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な抗生物質による治療を開始することが非常に重要です。
抗生物質の種類と選択
蜂窩織炎の治療に使用される抗生物質の種類は、原因菌として最も可能性が高い黄色ブドウ球菌やレンサ球菌に効果があるものが第一選択となります。
具体的には、ペニシリン系やセフェム系の抗生物質が多く使用されます。
どの抗生物質を選択するかは、患者さんの状態や、原因菌の推定、アレルギーの有無などによって医師が判断します。
- ペニシリン系抗生物質: ペニシリンGやアモキシシリンなど。
特にレンサ球菌に有効性が高いとされています。 - セフェム系抗生物質: セファレキシンやセファクロルなど。
黄色ブドウ球菌やレンサ球菌の両方に広く効果が期待できます。 - クリンダマイシン: ペニシリンやセフェム系にアレルギーがある場合や、特定の耐性菌が疑われる場合などに使用されることがあります。
- マクロライド系抗生物質: クラリスロマイシンやアジスロマイシンなど。
ペニシリン系などにアレルギーがある場合に選択されることがあります。
近年では、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)といった特定の抗生物質に耐性を持つ細菌による感染も問題となることがあります。
MRSAによる蜂窩織炎が疑われる場合や、重症の場合には、バンコマイシンやリネゾリドといったより強力な抗生物質が選択されることもあります。
適切な抗生物質を、医師の指示通りに、決められた期間しっかりと服用・投与することが、治療を成功させる上で最も重要です。
症状が改善したからといって自己判断で服用を中止すると、細菌が完全に死滅せず、再燃したり耐性菌が出現したりするリスクがあります。
内服薬と点滴治療の違い
蜂窩織炎の治療には、抗生物質を口から飲む「内服薬」と、血管に直接投与する「点滴治療」があります。
どちらを選択するかは、主に症状の重症度や全身状態によって判断されます。
治療方法 | 特徴 | メリット | デメリット | 適応されるケース |
---|---|---|---|---|
内服薬 | 錠剤やカプセル、粉薬などを口から服用します。 | 通院しながら治療が可能。 比較的軽症の場合に適しています。 自宅で治療できるため、患者さんの負担が少ない。 |
吸収に時間がかかる場合がある。 薬の種類によっては食事の影響を受けることがある。 重症の場合には効果が不十分なことがある。 |
軽度〜中等度の蜂窩織炎。 全身症状(発熱など)が軽度かみられない場合。 経口摂取が可能な場合。 |
点滴治療 | 抗生物質を溶解した薬液を静脈から直接体内に入れます。 | 薬が全身に迅速かつ高濃度に行き渡るため、効果の発現が早い。 消化吸収の問題がないため、確実に薬効が得られる。 |
入院が必要になる場合が多い。 注射に伴う痛伴うがある。 血管炎やアレルギー反応のリスクがある。 |
重度な蜂窩織炎。 全身症状(高熱、悪寒、全身倦怠感など)が強い場合。 急速に症状が進行している場合。 膿瘍を形成している場合。 経口摂取が困難な場合。 基礎疾患があるなど、重症化リスクが高い場合。 |
軽症であれば内服薬で十分に効果が期待できますが、炎症が広範囲に及んでいる、全身症状が強い、経口摂取が難しい、あるいは免疫力が著しく低下しているといった重症例では、より確実に、より早く抗生物質を全身に届けることができる点滴治療が選択されます。
点滴治療は通常、入院して行われますが、症状が改善すれば内服薬に切り替えて外来で治療を続けることも可能です。
その他の治療法
抗生物質による薬物療法が基本ですが、それ以外にも炎症を抑えたり、合併症に対処したりするための治療が行われます。
安静・冷却・圧迫など(非薬物療法)
抗生物質による治療と並行して、以下のような非薬物療法も行われるのが一般的です。
これらは、炎症を鎮め、痛みや腫れを軽減し、治癒を促進する目的で行われます。
- 安静: 患部を動かさず、安静に保つことが重要です。
特に足に発症した場合は、できるだけ歩行を避け、座ったり横になったりして過ごすようにします。
安静にすることで、炎症の拡大を防ぎ、患部の回復を助けます。 - 挙上: 患部、特に足や腕の蜂窩織炎の場合は、心臓より高い位置に挙上することで、血行を改善し、むくみや腫れを軽減する効果があります。
寝るときは枕やクッションを使って患部を高く保つと良いでしょう。 - 冷却: 患部の熱感や痛みが強い場合、アイスパックなどをタオルで包んで患部を優しく冷やすと、症状が和らぐことがあります。
ただし、冷やしすぎは血行を悪くする可能性があるので、直接皮膚に当てたり、長時間冷やし続けたりしないように注意が必要です。 - 圧迫: 弾性包帯などで患部を軽く圧迫することで、むくみを軽減する効果が期待できます。
ただし、圧迫が強すぎると血行を妨げる可能性があるため、医師や看護師の指導のもとで行う必要があります。
特にリンパ浮腫がある場合には、適切な圧迫療法が推奨されます。
これらの非薬物療法は、抗生物質による治療の効果を高め、患者さんの不快な症状を和らげるために重要な役割を果たします。
膿瘍形成時の外科的治療
蜂窩織炎が進行し、感染部位に膿が溜まった状態を「膿瘍(のうよう)」と言います。
膿瘍が形成された場合、抗生物質だけでは十分に効果が得られないことがあります。
これは、膿瘍内部には細菌が多く存在し、血行が悪いため抗生物質が届きにくくなるからです。
このような場合、外科的な処置として、膿瘍を切開して内部に溜まった膿を体外に排出する「切開排膿(せっかいはいのう)」が必要となります。
切開排膿によって、膿とともに細菌や炎症物質が体外に除去されるため、抗生物質の効果が高まり、治癒が促進されます。
切開排膿は、局所麻酔をして行われる比較的小さな手術です。
切開した傷口は、再び膿が溜まらないように、しばらく開けたままにしておくか、ガーゼなどを詰めておく場合があります。
傷口の処置は、医師や看護師の指示に従い、清潔に保つことが重要です。
膿瘍の形成は、蜂窩織炎の重症化のサインの一つでもあります。
患部にブヨブヨとしたしこりが触れる、痛みが局所的に強い、といった症状がある場合は、膿瘍ができている可能性も考えられるため、医師に相談することが大切です。
腫れや痛みの対処法
蜂窩織炎に伴う腫れや痛みは、患者さんにとって非常に辛い症状です。
これらの症状を和らげるために、以下のような対処法がとられます。
- 鎮痛剤の使用: 痛みが強い場合、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの鎮痛剤が処方されることがあります。
これらの薬は、痛みを抑えるだけでなく、炎症を和らげる効果も期待できます。
ただし、胃腸障害などの副作用がある場合もあるため、医師の指示に従って服用することが重要ですし、[厚生労働省のウェブサイト](https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/hifuka/index.html)など公的機関の情報も参考にすると良いでしょう。 - 非薬物療法: 前述の安静、挙上、冷却といった非薬物療法も、腫れや痛みの軽減に有効です。
特に患部を高く保つこと(挙上)は、むくみや痛みを和らげる効果が期待できます。 - ステロイドの使用: 一部の例外的なケースを除き、通常、蜂窩織炎の治療にステロイドは推奨されません。
ステロイドは炎症を抑える効果がありますが、免疫機能を低下させるため、細菌感染を悪化させるリスクがあるからです。
しかし、特殊な状況や、特定の合併症がある場合に、医師の判断で使用される可能性はゼロではありません。
基本的には、抗生物質と必要に応じて鎮痛剤、そして非薬物療法で対応します。
腫れや痛みは、治療によって徐々に改善していきます。
症状がなかなか改善しない場合や、悪化する場合は、治療が不十分である可能性や、原因菌が特定されていない可能性、あるいは他の疾患が隠れている可能性も考えられるため、再度医師に相談することが大切です。
蜂窩織炎の治療期間と治癒までの経過
蜂窩織炎の治療期間は、症状の重症度や治療の開始時期、選択された治療法、患者さんの全身状態などによって異なります。
また、治療中の日常生活の注意点も治癒に影響を与えます。
一般的な治療期間
蜂窩織炎の一般的な治療期間は、軽症であれば数日から1週間程度、中等症以上であれば1週間から数週間かかることが多いです。
- 軽症の場合: 内服薬による治療が開始され、通常は数日以内に赤みや腫れ、痛みが軽減し始めます。
抗生物質は、症状が改善しても再燃を防ぐために、通常7日〜10日間程度継続して服用することが推奨されます。 - 中等症〜重症の場合: 点滴治療が必要となることが多く、入院期間は数日から1週間以上となることがあります。
症状が改善し、発熱が治まり、炎症の範囲の拡大が止まった時点で内服薬に切り替えて外来治療となるのが一般的です。
内服期間を含めると、治療期間は2週間以上に及ぶこともあります。
膿瘍が形成されて切開排膿を行った場合は、切開した傷口のケアも必要になるため、治癒までの期間が長くなる傾向があります。
治療期間はあくまで目安であり、個人差が大きいです。
基礎疾患(糖尿病やリンパ浮腫など)がある方や、免疫力が低下している方は、治癒に時間がかかる傾向があります。
医師の指示に従い、最後までしっかりと治療を続けることが大切です。
治療中の注意点(日常生活、飲酒、入浴など)
蜂窩織炎の治療期間中は、治療効果を高め、症状の悪化や合併症を防ぐために、日常生活においていくつか注意すべき点があります。
- 安静: 患部、特に手足の蜂窩織炎の場合は、できるだけ安静にすることが重要です。
無理に動かすと炎症が広がったり、痛みが悪化したりする可能性があります。
必要に応じて、患部を高く保つ(挙上)ことも有効です。 - 清潔の保持: 患部を含む全身を清潔に保つことは、二次的な感染を防ぐ上で重要です。
ただし、患部を強くこすったり、傷つけたりしないように優しく洗いましょう。 - 入浴: 患部の状態によりますが、発熱がなく、全身状態が安定していれば、シャワーは基本的に問題ありません。
湯船に浸かることは、炎症を悪化させる可能性や、傷口がある場合は感染リスクを高める可能性があるため、医師に確認してからにしましょう。
特に広範囲な炎症や膿瘍がある場合は、避けるべきです。 - 飲酒: 治療期間中の飲酒は控えるべきです。
アルコールは血管を拡張させ、炎症を悪化させる可能性があります。
また、抗生物質の種類によっては、アルコールとの併用で副作用が出やすくなるものもあります。 - 喫煙: 喫煙は血行を悪化させ、組織の修復を妨げるため、治癒を遅らせる可能性があります。
治療中は禁煙することが望ましいです。 - 保湿とスキンケア: 炎症が治まった後も、皮膚のバリア機能を回復させるために保湿ケアが重要です。
乾燥は皮膚のバリア機能を低下させ、再発リスクを高めます。
医師や薬剤師に相談して、適切な保湿剤を使用しましょう。 - 水虫の治療: 足の蜂窩織炎の場合、水虫が原因となっていることが多いため、蜂窩織炎の治療と並行して水虫の治療もしっかり行うことが再発予防のために不可欠です。
これらの注意点を守り、無理のない範囲で過ごすことが、スムーズな回復へと繋がります。
治癒までの経過と症状の変化
蜂窩織炎は、適切な治療を開始すると比較的速やかに症状が改善していくことが多いですが、完全に元の状態に戻るまでにはある程度の時間が必要です。
- 治療開始後数日〜1週間: 抗生物質が効き始めると、まず発熱や悪寒といった全身症状が改善することが多いです。
次に、患部の痛みや熱感が和らぎ始め、赤み(紅斑)の範囲の拡大が止まります。
腫れはゆっくりと引いていく傾向があります。 - 治療開始後1週間〜数週間: 赤みや腫れが徐々に軽減していきます。
皮膚の色は赤色からやや紫がかった色や茶色っぽい色に変化し、最終的には元の肌色に戻ります。
触った時の硬さ(硬結)や皮膚の厚ぼったさ(肥厚)は、炎症が完全に引いて組織が修復されるまで残ることがあります。
痛みもほとんどなくなります。 - 完全に治癒した後: 見た目には元の皮膚に戻りますが、特に重症だった場合や繰り返している場合は、患部に色素沈着(茶色っぽく色が残る)や皮膚の肥厚が残ることがあります。
また、リンパ浮腫のある方は、浮腫が悪化したり、蜂窩織炎にかかりやすさが残る場合があります。
治癒までの経過は個人差が大きく、特に基礎疾患がある方や高齢者はゆっくりと経過をたどることがあります。
治療中に症状がなかなか改善しない、あるいは一旦改善したのに再び悪化するといった場合は、原因菌が抗生物質に耐性を持っている、診断が間違っている、あるいは他の合併症が起きているなどの可能性も考えられるため、必ず医師に相談しましょう。
蜂窩織炎が重症化した場合
蜂窩織炎は早期に適切な治療を行えば治癒する病気ですが、放置したり、治療が遅れたりすると、重症化して命に関わるような合併症を引き起こす可能性もあります。
重症化のサインとリスク
蜂窩織炎の症状が急速に悪化したり、全身に影響が出たりする場合は、重症化のサインと考えられます。
これらのサインに気づいたら、速やかに医療機関を受診する必要があります。
重症化の主なサイン:
- 高熱(38.5℃以上)と悪寒: 全身に細菌が回っている(菌血症)可能性を示唆します。
- 全身倦怠感、意識障害: 全身状態が悪化しているサインです。
- 急速な紅斑の拡大: 数時間で広範囲に赤みが広がるなど、進行が非常に早い場合。
- 強い痛みの増強: 特に、患部を押すと激しい痛みがある、痛みが麻痺してくるなど、痛みの性質が変わる場合。
- 水疱(水ぶくれ)や血疱(血豆のような水ぶくれ)の多発: 皮膚組織の障害が進んでいるサインです。
- 紫斑(紫色のアザ)の出現: 皮膚の下で出血が起きているサインで、重症度が高い状態です。
- 皮膚の色の変化(黒ずみなど): 皮膚組織の壊死が始まっている可能性を示唆します。
- リンパ節の腫れと強い痛み: 感染がリンパ系を通じて広がっているサインです。
- 血圧の低下、頻脈: 全身状態の悪化(ショック状態)を示唆します。
重症化のリスクが高い人:
前述の「なりやすい人・リスク因子」で挙げた方々、特に以下の状態の方は重症化しやすい傾向にあります。
- 免疫抑制状態にある方(糖尿病、ステロイド治療中、抗がん剤治療中、HIV感染など)
- 高齢者
- 重度のリンパ浮腫や静脈不全がある方
- 全身状態が悪い方
これらのリスク因子を持つ方が蜂窩織炎にかかった場合、通常よりも注意深い観察と、より積極的な治療が必要となることがあります。
入院が必要になるケース
蜂窩織炎で入院が必要となるのは、主に以下のようなケースです。
- 重症化のサインが見られる場合: 前述の高熱、悪寒、急速な症状悪化、全身症状(意識障害、血圧低下など)がある場合。
- 点滴による抗生物質投与が必要な場合: 経口摂取が困難な場合や、内服薬では効果が不十分と判断される場合。
点滴治療は通常入院して行われます。 - 膿瘍を形成しており、切開排膿が必要な場合: 外科的な処置が必要となるため、入院して管理することが多いです。
- 基礎疾患が悪化している場合: 糖尿病の血糖コントロールが悪化している、腎機能が低下しているなど、蜂窩織炎によって持病が悪化した場合。
- 経口摂取が困難な場合: 痛みや全身状態の悪化により、水分や食事が十分に摂れない場合。
- 診断が不明確で精密検査が必要な場合: 他の重篤な感染症や病気を鑑別する必要がある場合。
- 自宅での療養が難しい場合: 高齢で一人暮らし、介護が必要など、自宅で安静にしたり、指示通りに服薬したりすることが難しい場合。
入院中は、抗生物質の点滴投与や、全身状態の観察、必要に応じて血糖コントロールや疼痛管理などが行われます。
症状が安定し、内服薬で治療が可能と判断されれば、退院して通院での治療に切り替えられます。
敗血症などの合併症について
蜂窩織炎が重症化した場合、局所の感染が全身に広がり、命に関わるような深刻な合併症を引き起こす可能性があります。
- 敗血症: 細菌が血流に乗って全身に広がり、全身性の炎症反応を引き起こす状態です。
高熱、悪寒、頻脈、呼吸数の増加、意識障害、血圧低下などの症状が現れ、多臓器不全に進行する可能性があり、非常に危険な状態です。 - 壊死性筋膜炎(えしせい きんまくえん): 蜂窩織炎よりもさらに深部の筋膜に沿って感染が急速に広がり、組織が壊死していく重篤な感染症です。
強い痛み、皮膚の色や感覚の変化(麻痺)、高熱などが急速に現れ、緊急に広範囲な外科的切除が必要となることが多いです。
生命予後が非常に悪い病気です。 - 骨髄炎、化膿性関節炎: 感染が骨や関節にまで及んだ場合、骨髄炎や化膿性関節炎を引き起こすことがあります。
これらの合併症は、治療が難しく、長期化する傾向があります。 - 急性腎不全: 敗血症などが原因で、腎臓の機能が急激に低下する場合があります。
- 深部静脈血栓症: 炎症が血管に影響を与え、血栓ができやすくなることがあります。
これらの合併症は、蜂窩織炎の初期段階ではまれですが、治療が遅れたり、重症化のリスク因子を持つ方が発症したりした場合に起こりやすくなります。
特に、急速な症状の悪化や全身症状が現れた場合は、これらの重篤な合併症に進展する可能性があるため、一刻も早く医療機関を受診し、適切な治療を開始することが不可欠です。
蜂窩織炎の予防法
蜂窩織炎は、皮膚のバリア機能が低下した部分から細菌が侵入して起こります。
そのため、皮膚を健康に保ち、傷口を適切にケアすることが最も効果的な予防法となります。
日常生活でできる予防策
蜂窩織炎を予防するために、日頃から以下のようなことに気をつけましょう。
- 皮膚を清潔に保つ: 毎日優しく洗うことで、皮膚の表面にいる細菌の量を減らすことができます。
ただし、洗いすぎや、強くこすることは皮膚のバリア機能を損なうため逆効果です。 - 皮膚の乾燥を防ぐ: 乾燥した皮膚はひび割れやすく、細菌が侵入する原因となります。
入浴後などには、保湿剤を塗って皮膚を潤すことが大切です。
特に冬場や、乾燥肌の方は念入りに行いましょう。 - 小さな傷でも適切に手当する: 切り傷、擦り傷、ひっかき傷など、どんなに小さな傷でも、放置せずに清潔な水で洗い、消毒をして、絆創膏などで保護しましょう。
傷口が開いたままになっていると、そこから細菌が侵入しやすくなります。 - 虫刺されに注意する: 虫刺されの痕をかきむしると、傷口から細菌が侵入する可能性があります。
虫に刺されないように対策をしたり、刺されてしまったらかゆみ止めを塗るなどして、かきむしらないようにしましょう。 - 水虫を治療する: 足の蜂窩織炎の主な原因の一つが水虫です。
水虫による皮膚のひび割れや炎症を放置せず、皮膚科を受診するなどしてしっかりと治療することが重要です。 - 爪のケア: 深爪を避け、爪の周りの皮膚を傷つけないように注意しましょう。
- 硬い靴擦れやタコ、魚の目への対応: これらも皮膚への刺激となり、傷口や炎症の原因となることがあります。
適切なフットケアを心がけましょう。 - 怪我をしやすい作業時は保護具を使用する: ガーデニングや日曜大工など、皮膚を傷つけやすい作業を行う際は、手袋などを着用して皮膚を保護しましょう。
これらの日々のケアは、皮膚のバリア機能を維持し、細菌感染を防ぐ上で非常に効果的です。
基礎疾患との関連と管理
糖尿病やリンパ浮腫、静脈不全などの基礎疾患を持っている方は、蜂窩織炎のリスクが高いことを認識し、これらの持病をしっかりと管理することが蜂窩織炎の予防に繋がります。
- 糖尿病: 血糖コントロールを良好に保つことが、免疫機能を正常に保ち、感染症にかかりにくくするために最も重要です。
また、糖尿病による神経障害で足の感覚が鈍くなっていると、小さな傷や水虫に気づきにくくなることがあります。
毎日足の状態を観察し、異常がないかチェックする「フットケア」が非常に重要です。 - リンパ浮腫: リンパ浮腫がある方は、弾性ストッキングや弾性包帯を用いた圧迫療法、リンパドレナージ、スキンケアなどを継続的に行うことが、浮腫の悪化を防ぎ、蜂窩織炎の発症リスクを軽減する上で不可欠です。
小さな傷や虫刺されも重症化しやすいため、特に注意が必要です。 - 静脈不全・うっ滞性皮膚炎: 足の血行不良によるむくみや皮膚の炎症がある場合は、弾性ストッキングの着用や適切なスキンケア、安静時の挙上などが予防に役立ちます。
持病がある方は、定期的に主治医の診察を受け、指示された治療や管理をしっかりと行うことが、蜂窩織炎を含む様々な合併症を防ぐために重要です。
再発を防ぐために
一度蜂窩織炎にかかった方は、同じ部位や他の部位で再発するリスクが高いと言われています。
再発を防ぐためには、治療後のスキンケアや、原因となった要因への対処が重要です。
- スキンケアの継続: 治療によって皮膚の炎症が治まっても、皮膚のバリア機能が完全に回復するまでには時間がかかります。
保湿を怠らず、皮膚を清潔に保つスキンケアを継続することが再発予防の基本です。 - 原因となった要因の特定と対処: なぜ蜂窩織炎にかかったのか(水虫があった、リンパ浮腫があった、特定の部位に傷がつきやすいなど)を把握し、その原因に対して適切な対策を講じることが重要です。
例えば、水虫が原因であれば水虫の治療を徹底する、リンパ浮腫が悪化しないように管理するなどです。 - 再発リスクが高い場合の予防的な抗生物質: ごくまれに、リンパ浮腫が重度である、あるいは繰り返して蜂窩織炎にかかるような場合、医師の判断で少量の抗生物質を長期間服用する予防的な治療が行われることがあります。
これは全てのケースで行われるわけではなく、医師が患者さんの状態を総合的に判断して決定します。
自己判断で行うべきではありません。
再発を繰り返すと、リンパ管がさらにダメージを受け、リンパ浮腫が悪化するという悪循環に陥る可能性があります。
そのため、一度蜂窩織炎にかかった方は、予防策をしっかりと行い、皮膚の異変に早く気づけるように心がけることが非常に大切です。
蜂窩織炎かもしれないと思ったら
蜂窩織炎は早期に診断・治療を開始することが非常に重要です。
もしご自身やご家族が蜂窩織炎かもしれないと思った場合、どのようなサインに注意し、いつ、何科を受診すれば良いかを解説します。
受診すべき目安とタイミング
以下のような症状が見られる場合は、蜂窩織炎の可能性が高いため、速やかに医療機関を受診してください。
- 皮膚の赤み、腫れ、熱感、痛みがセットで現れている。
- 患部の赤みや痛みが、数時間から1日の間に急速に広がっている。
- 患部に加えて、発熱(特に高熱)、悪寒、全身のだるさといった全身症状が出ている。
- 患部の近くのリンパ節(足なら鼠径部、腕なら脇など)が腫れて痛む。
- 患部に水ぶくれや膿を持ったぶつぶつができている。
- 持病(糖尿病、リンパ浮腫など)があり、皮膚の症状に加えて全身状態がいつもと違う。
症状が軽度であっても、赤みや腫れが広がってくるようであれば、早めに受診することが重要です。
特に、高熱が出ている場合や、赤みが急速に広がっている場合は、症状が重症化している可能性があるため、躊躇せずにその日のうちに受診することをおすすめします。
夜間や休日であれば、救急外来の受診も検討すべきです。
自己判断で様子を見たり、市販薬で済ませようとしたりすると、治療開始が遅れて重症化リスクが高まります。
「これくらい大丈夫だろう」と軽く考えず、「もしかしたら蜂窩織炎かも?」と思ったら、まずは医療機関に相談しましょう。
何科を受診すべきか
蜂窩織炎が疑われる場合、最初に受診すべき科は、主に以下のいずれかです。
- 皮膚科: 皮膚の病気の専門家であるため、蜂窩織炎の診断や治療に精通しています。
多くの蜂窩織炎は皮膚科で対応可能です。 - 内科: 発熱などの全身症状が強い場合や、糖尿病などの基礎疾患がある場合は、内科でも対応可能です。
特に全身状態の管理が必要な場合は、内科医が適切に対応します。 - かかりつけ医: いつも診てもらっているかかりつけ医がいる場合は、まずはかかりつけ医に相談するのも良いでしょう。
必要に応じて専門医(皮膚科など)を紹介してもらえる場合があります。 - 救急外来: 高熱が出ている、全身状態が悪い、急速に症状が進行しているなど、緊急性が高いと判断される場合は、時間帯に関わらず救急外来を受診しましょう。
迷う場合は、まずはかかりつけ医や、最寄りの病院の代表電話に相談して、受診すべき科を確認すると良いでしょう。
特に子供の場合は、小児科を受診することが推奨されます。
子供の蜂窩織炎について
子供も大人と同様に蜂窩織炎にかかることがあります。
特に、小さな傷や虫刺され、あせもなどをかきむしった傷口から細菌が感染することが原因となります。
子供の蜂窩織炎は、大人に比べて症状が急速に進行したり、高熱が出たりしやすい傾向があります。
また、顔面、特に目の周りや頬、耳などに発症することも比較的多いです。
子供の皮膚に、大人と同様の「赤み」「腫れ」「熱感」「痛み」といった症状が見られたり、機嫌が悪かったり、食欲がなかったり、発熱がある場合は、蜂窩織炎の可能性を考えて医療機関を受診することが重要です。
子供の蜂窩織炎の治療も、基本的に抗生物質による薬物療法が中心となります。
症状の程度に応じて内服薬または点滴治療が選択されます。
子供は症状の進行が早いため、「ちょっとおかしいな」と感じたら、早めに小児科を受診するようにしましょう。
保護者が自己判断で市販薬を塗ったり、様子を見すぎたりすることは避けるべきです。
子供の予防策としては、皮膚を清潔に保つ、爪を短く切る、虫刺され対策をする、傷口を適切に手当するといった、大人と同様の対策が重要ですます。
【まとめ】蜂窩織炎の治療は早期の抗生物質が重要
蜂窩織炎は、皮膚の深い部分に細菌が感染して起こる病気であり、その主な治療法は抗生物質による薬物療法です。
軽症であれば内服薬、重症であれば点滴治療が選択され、原因菌の種類や患者さんの状態に応じて適切な抗生物質が使用されます。
治療期間は症状の程度によりますが、数日から数週間かかるのが一般的です。
治療中は、患部を安静に保つ、高く挙上する、必要に応じて冷却するといった非薬物療法も併せて行うことで、症状の緩和や治癒の促進が期待できます。
膿瘍が形成された場合は、切開排膿といった外科的処置が必要となることもあります。
最も重要なのは、蜂窩織炎のサインである「皮膚の赤み、腫れ、熱感、痛み」に気づいたら、できるだけ早く医療機関を受診することです。
特に、高熱が出たり、赤みが急速に広がったり、全身状態が悪化したりする場合は、重症化して命に関わる合併症(敗血症など)に進展するリスクがあるため、一刻も早い受診が必要です。
蜂窩織炎は再発しやすい病気でもあります。
日頃から皮膚を清潔に保ち、保湿する、小さな傷でも適切に手当する、水虫を治療するといった予防策を実践することが、再発を防ぐ上で非常に重要ですす。
また、糖尿病やリンパ浮腫といった基礎疾患がある方は、これらの持病をしっかりと管理することが、蜂窩織炎の発症や重症化を防ぐために不可欠です。
もし蜂窩織炎かもしれないと思ったら、皮膚科や内科、かかりつけ医に相談しましょう。
迷う場合は、まずは医療機関に電話で問い合わせてみるのも良い方法です。
適切な診断と早期の治療、そして日々の予防とスキンケアが、蜂窩織炎を克服し、健康な皮膚を維持する鍵となります。
蜂窩織炎に関するさらに詳しい情報は、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/hifuka/index.htmlでも提供されています(参照:蜂窩織炎(蜂巣炎)の包括的ガイド:原因から治療・予防まで)。
免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の症状に対する診断や治療法を断定するものではありません。
ご自身の症状に不安がある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。