耳たぶにしこり|粉瘤・ケロイドなど原因は?放置NGケースと何科に行くべきか

耳たぶにしこりができてしまい、「これって何だろう?」「もしかして悪いもの?」と不安に感じていませんか?耳たぶのしこりは、痛みがあるもの、ないもの、大きくなるもの、自然に消えるものなど、様々な症状が現れます。その原因も、比較的軽いものから専門的な治療が必要なものまで多岐にわたります。

この記事では、耳たぶにできるしこりの主な原因や特徴、放置するリスク、そして「どんな時に受診すべきか」「何科に行けば良いのか」について詳しく解説します。耳たぶのしこりについて正しい知識を得て、適切な対処法を知ることで、不要な不安を解消し、安心して日々を過ごせるようになるでしょう。

耳たぶのしこり 考えられる主な原因

耳たぶにできるしこりの原因は一つではありません。見た目や触感、痛みの有無など、その特徴によっていくつかの可能性が考えられます。ここでは、耳たぶによく見られるしこりの原因について詳しく見ていきましょう。

主な原因としては、皮膚の下にできる袋状の「粉瘤(アテローム)」、傷跡が盛り上がる「ケロイド」や「肥厚性瘢痕」、細菌などによる「感染性のできもの」、比較的軽度な「ニキビ」や「毛嚢炎」、そして首や耳の周りの「リンパ節の腫れ」などが挙げられます。それぞれ特徴が異なります。

粉瘤(アテローム)

耳たぶのしこりとして最も一般的なものの一つが粉瘤(ふんりゅう)、またはアテロームと呼ばれるものです。これは、皮膚の下に袋状の構造ができ、その中に剥がれ落ちた皮膚の垢(角質)や皮脂がたまってできる良性の腫瘍です。体のどこにでもできますが、耳たぶ、顔、首、背中、お尻などによく見られます。

粉瘤は基本的に良性であり、それ自体が命に関わる病気ではありません。しかし、自然に治ることはなく、時間とともに少しずつ大きくなる傾向があります。また、中央部分に黒っぽい小さな穴(開口部)が見られることが特徴です。この穴から内容物が出てきて、嫌な臭いを伴うこともあります。

診断は、医師が視診や触診で行うことがほとんどですが、必要に応じて超音波(エコー)検査が行われることもあります。エコー検査によって、しこりの内部構造や大きさ、深さなどを詳しく調べることができます。

痛みのない粉瘤の特徴

炎症を起こしていない、普段の状態の粉瘤は、通常痛みを伴いません。触ると皮膚の下にコリコリとした丸い塊がある感触で、表面は滑らかです。大きさは数ミリ程度の小さなものから、数センチ、まれにそれ以上に大きくなることもあります。

  • 見た目: 皮膚の下にドーム状に盛り上がったしこりとして現れます。多くの場合、皮膚の色と同じか、わずかに赤みを帯びている程度です。中央に黒っぽい点(臍:さい)が見られることがあります。
  • 触感: 触ると比較的弾力があり、皮膚と完全に固定されておらず、少し動くことがあります。硬さは様々ですが、通常は軟らかすぎず硬すぎずといった感じです。
  • 症状: 痛みやかゆみはほとんどありません。ただし、衣服などに擦れたり圧迫されたりすると、軽い違和感やかゆみを感じることはあります。

痛みのない粉瘤は、見た目の問題や、大きくなって邪魔になるという理由で治療を希望される方が多いです。

炎症を起こした粉瘤(炎症性粉瘤)

粉瘤の袋に細菌が感染するなどして炎症を起こすと、炎症性粉瘤(えんしょうせいふんりゅう)という状態になります。こうなると、痛みや腫れが強く現れます。

  • 症状:
    • 強い痛み: ズキズキとした痛みを伴います。触れたり、押したりすると特に痛みが強くなります。
    • 赤みと腫れ: しこりの周りの皮膚が赤く腫れ上がり、熱を持つことがあります。
    • 膿(うみ): 炎症が進行すると、内部に膿がたまります。中央の開口部や破裂した部分から膿が出てくることもあります。膿は特有の強い臭いを伴うことが多いです。
    • 発熱: 炎症がひどい場合や範囲が広い場合は、発熱を伴うこともあります。

炎症性粉瘤は、放置するとさらに悪化し、周囲の組織に炎症が広がったり、皮膚が破れて膿が出続けたりすることがあります。炎症が強い場合は、まずは抗生剤の内服や、しこりを切開して膿を出す処置(切開排膿)が必要になります。炎症が落ち着いてから、後日しこりの袋ごと摘出する手術が行われるのが一般的です。

炎症性粉瘤は痛みが強く、見た目も悪くなるため、早めに医療機関を受診することが推奨されます。

粉瘤の治療法には、主に以下の2種類があります。

  1. 切開排膿: 炎症が強く膿がたまっている場合に行われます。しこりを切開して膿を出すことで、痛みや腫れを軽減させます。これは応急処置であり、袋は残ったままなので再発する可能性があります。
  2. 摘出手術: 炎症が落ち着いている時期に行うのが理想的です。しこりの袋ごと完全に摘出することで、再発を防ぎます。手術方法には、しこりを大きく切開して取り出す方法や、小さな穴を開けて袋をくり抜く「くり抜き法」などがあります。耳たぶのような目立つ部位では、傷跡を小さくできるくり抜き法が選択されることもあります。手術は日帰りで行われることが多く、局所麻酔下で行われます。

粉瘤は良性ですが、摘出しない限りは存在し続け、炎症を起こすリスクも常にあります。気になる場合は、皮膚科や形成外科で相談してみましょう。

ケロイド・肥厚性瘢痕

耳たぶにできるしこりの原因として、ケロイド肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)も比較的よく見られます。これらは、傷が治る過程で線維組織が過剰に増殖し、傷跡が赤く盛り上がって硬くなった状態です。耳たぶでは、特にピアスの穴を開けた後にできることが多いです。ピアス穴周囲病変の診療ガイドラインでも、ピアス孔に関連した合併症として挙げられています。

  • ケロイド: 傷の範囲を超えて、周囲の正常な皮膚にまで広がっていく性質があります。痛みやかゆみを伴うことが多く、自然に小さくなることはまれです。体質的にケロイドができやすい人がいます。
  • 肥厚性瘢痕: 傷の範囲内にとどまって盛り上がります。ケロイドと同様に赤みや硬さがありますが、時間とともに自然に平坦化したり柔らかくなったりすることもあります。

耳たぶのピアス穴が原因でできる場合、最初は小さな硬さや赤みとして現れ、徐々に大きくなっていくことがあります。複数のピアス穴がある場合は、それぞれにできることもあります。

診断は、医師による視診と問診(いつからできたか、ピアスの経験はあるかなど)で行われます。通常、画像検査は必要ありません。

ケロイドや肥厚性瘢痕の治療は、その大きさや症状、できた時期によって様々です。

  • 保存的治療:
    • ステロイド注射: 盛り上がった部分にステロイド剤を直接注射することで、炎症を抑え、線維組織の増殖を抑える効果が期待できます。数回行う必要があります。
    • ステロイド含有テープ/貼り薬: ケロイドや肥厚性瘢痕に直接貼ることで、ステロイド成分を浸透させます。比較的初期や小さいものに用いられます。
    • 圧迫療法: シリコンシートや専用の装具などで傷跡を圧迫することで、盛り上がりを抑える治療法です。根気強く続ける必要があります。
  • 外科的治療:
    • 手術: ケロイドや肥厚性瘢痕を切除する方法ですが、特にケロイド体質の場合、手術の傷跡がさらに大きなケロイドになるリスクがあります。そのため、手術と同時に放射線療法やステロイド注射などを組み合わせて再発予防を行うことが多いです。耳たぶのケロイド手術は、形成外科で行われることが一般的です。

ケロイドや肥厚性瘢痕は、見た目の問題だけでなく、かゆみや痛みを伴うことも多いため、悩んでいる場合は形成外科や皮膚科で相談することをおすすめします。特に、ピアスを開ける際にケロイド体質の方は注意が必要です。

感染性のできもの

耳たぶにできるしこりの中には、細菌やウイルスなどの感染が原因で炎症を起こしているものもあります。皮膚に傷があったり、毛穴から細菌が侵入したりすることで起こります。

  • 原因: 主な原因は細菌感染です。皮膚の常在菌であるブドウ球菌などが、小さな傷や毛穴から侵入して炎症を引き起こします。
  • 症状:
    • 赤みと腫れ: 感染した部分とその周囲が赤く腫れ上がります。
    • 痛み: 触れると強い痛みを伴うことが多いです。
    • 熱感: 患部が熱を持つことがあります。
    • 膿: 内部に膿がたまったり、膿が出たりすることがあります。
    • 発熱やリンパ節の腫れ: 感染が広範囲に及ぶ場合や、体の抵抗力が落ちている場合は、発熱や耳の周りのリンパ節の腫れを伴うこともあります。
  • 考えられる疾患:
    • せつ(おでき): 毛根とその周囲の組織が細菌感染して炎症を起こし、膿がたまった状態。
    • よう: せつが複数集まってより広範囲に感染が広がった状態。
    • その他、皮膚の深い部分での感染(蜂窩織炎など)が原因で硬いしこりのように感じられることもあります。

診断は、医師による視診や触診、問診で行われます。炎症の程度や全身症状によっては、血液検査で炎症のマーカー(CRPなど)を調べたり、膿がある場合は細菌の種類を特定するために培養検査を行ったりすることもあります。

感染性のできものの治療は、主に抗生剤による薬物療法です。

  • 抗生剤の内服・点滴: 細菌の種類や炎症の程度に応じて、適切な抗生剤が処方されます。炎症が強い場合や全身症状がある場合は、点滴による投与が必要になることもあります。
  • 切開排膿: 膿がたまっている場合は、小さく切開して膿を外に出すことで、痛みを和らげ、治癒を早めることができます。
  • 塗り薬: 軽い感染であれば、抗生剤入りの塗り薬が処方されることもあります。

感染性のできものは、放置すると炎症が広がり、痛みが強くなるだけでなく、稀に全身に細菌が回る(敗血症)といった重篤な状態になるリスクもあります。赤み、腫れ、痛みが強い場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

ニキビや毛嚢炎

耳たぶにも、顔と同じようにニキビ毛嚢炎(もうのうえん)ができることがあります。これらは毛穴の炎症が原因で起こる比較的小さなできものです。

  • ニキビ: 毛穴に皮脂が詰まり、アクネ菌が増殖して炎症を起こすものです。思春期以降にできやすいですが、耳たぶにも皮脂腺があるため発生します。
  • 毛嚢炎: 毛穴の奥にある毛包に細菌(主にブドウ球菌)が感染して炎症を起こすものです。ニキビと似ていますが、皮脂の詰まりは関係なく、毛穴があればどこにでもできます。耳たぶにもうぶ毛のような毛が生えているため、毛嚢炎ができることがあります。
  • 症状:
    • 小さな赤い盛り上がり: 直径数ミリ程度の、赤く少し盛り上がったしこりとして現れます。
    • 痛みやかゆみ: 触ると少し痛かったり、むずかゆさを感じたりすることがあります。
    • 膿点: 毛嚢炎の場合、中央に小さな白い膿点が見られることがあります。

ニキビや毛嚢炎は、軽度であれば自然に治ることも少なくありません。しかし、掻きむしったり、不潔な手で触ったりすると、炎症が悪化したり、感染が広がったりする可能性があります。

診断は、医師による視診でほとんどの場合可能です。

治療としては、以下のようなものがあります。

  • 塗り薬: 抗生剤や抗炎症作用のある塗り薬が処方されます。
  • 飲み薬: 炎症が広い範囲に及ぶ場合や、症状が強い場合は、抗生剤や抗炎症剤の内服薬が処方されることもあります。
  • スキンケア: 耳たぶも清潔に保つことが大切です。洗顔料で優しく洗うなど、正しいスキンケアを心がけましょう。

ニキビや毛嚢炎は比較的軽度な原因ですが、繰り返したり、治りが悪かったりする場合は、皮膚科で相談してみることをおすすめします。

リンパ節の腫れ

耳たぶの近く、特に耳たぶの裏や首との境目あたりにしこりを感じる場合、それはリンパ節の腫れかもしれません。リンパ節は全身にあり、免疫機能の一部として、細菌やウイルスなどの病原体を捉えて排除する役割を担っています。耳の周囲にもリンパ節が集まっています。

耳の周囲のリンパ節が腫れるのは、近くで炎症や感染が起こっているサインであることが多いです。

  • 原因:
    • 耳の炎症や感染症: 外耳炎、中耳炎、耳たぶの感染(ピアス穴の感染、ニキビ、毛嚢炎など)など。
    • 顔や頭部の炎症や感染症: 風邪、インフルエンザ、扁桃腺炎、虫歯、歯周病、頭皮の湿疹やできものなど。
    • その他の原因: 非常に稀ですが、悪性腫瘍の転移やリンパ腫などが原因でリンパ節が腫れることもあります。
  • 症状:
    • しこり: 触るとクリクリとした丸い塊として触れます。通常は1つですが、複数触れることもあります。
    • 痛み: 腫れているリンパ節を押すと痛みを感じることがあります。炎症が強い場合は、何もしなくても痛むことがあります。痛みを伴わないこともあります。
    • 大きさ: 数ミリ程度の小さなものから、炎症が強い場合は1〜2センチ、それ以上に大きくなることもあります。
    • 硬さ: 通常は弾力がありますが、炎症が強いと硬く感じたり、周囲とくっついて動きが悪く感じたりすることもあります。
  • 診断: 医師による触診や問診(最近の体調、耳や顔の症状など)が行われます。原因を特定するために、耳の中や口の中を診察したり、必要に応じて血液検査や超音波(エコー)検査が行われたりすることもあります。

リンパ節の腫れ自体は病気ではなく、体の防御反応です。治療は、リンパ節が腫れている原因疾患に対して行われます。原因となっている感染症や炎症が治まれば、リンパ節の腫れも自然に引いていくことがほとんどです。

ただし、リンパ節の腫れが数週間以上続く、だんだん大きくなる、硬くて動かない、発熱や体重減少など他の全身症状を伴う、といった場合は、より詳しい検査が必要になることもあります。不安な場合は、内科や耳鼻咽喉科、皮膚科などで相談してみましょう。

その他のまれなケース

耳たぶにできるしこりの中には、上記以外にも比較的まれな原因によるものがあります。

  • 脂肪腫: 皮下組織にできる脂肪細胞の良性腫瘍です。触ると柔らかく、比較的境界がはっきりしています。痛みはなく、ゆっくりと大きくなる傾向があります。自然に治ることはなく、気になる場合は手術で摘出します。
  • 軟骨腫: 耳介の軟骨にできる良性腫瘍です。耳たぶの軟骨は比較的小さいですが、まれに発生します。触ると硬いのが特徴です。
  • 血管腫: 血管の異常によってできる良性の腫瘍です。赤っぽい色をしていたり、押すと色が薄くなったりするものがあります。
  • 悪性腫瘍: 非常にまれですが、耳たぶに皮膚がんなどの悪性腫瘍ができる可能性もゼロではありません。急激に大きくなる、形がいびつ、硬い、出血しやすい、ただれがある、といった特徴が見られることがあります。悪性腫瘍の場合は早期発見・早期治療が非常に重要です。

これらのまれなケースは、見た目だけで自己判断するのは難しく、専門医による診断が必要です。気になるしこりがある場合は、必ず医療機関を受診して正確な診断を受けましょう。

しこりの痛みや症状について

耳たぶのしこりは、その原因によって痛みの有無やその他の症状が異なります。しこりがどのような症状を伴っているかを知ることは、原因を推測する上で役立ちます。

症状 考えられる主な原因 特徴
押すと痛む 炎症性粉瘤、感染性のできもの、ニキビ・毛嚢炎、リンパ節の腫れ(炎症がある場合) 炎症や感染を起こしている可能性が高い。赤みや腫れを伴うことが多い。
痛みを伴わない 粉瘤(非炎症性)、ケロイド・肥厚性瘢痕、脂肪腫、軟骨腫、リンパ節の腫れ(炎症がない場合) 比較的、急性の炎症や感染ではない可能性が高い。ゆっくり大きくなる傾向。
できたり消えたり ニキビ・毛嚢炎、一時的なリンパ節の腫れ 一過性の炎症や体調の変化に関連している可能性。

押すと痛むしこり

耳たぶのしこりを押したり触ったりすると痛みを感じる場合、そのしこりが炎症や感染を起こしている可能性が高いです。

最も一般的なのは、粉瘤が細菌感染して炎症を起こした炎症性粉瘤です。この場合、しこりは赤く腫れ上がり、熱を持ち、ズキズキとした強い痛みを伴います。内部に膿がたまっていることもあります。

他にも、毛穴の感染である毛嚢炎や、皮膚の細菌感染によるせつ(おでき)などの感染性のできものも、押すと痛みがあります。これらの場合は、しこりは小さくても強い痛みを伴うことがあります。

耳の周りのリンパ節が、近くの炎症(風邪、中耳炎など)によって腫れている場合も、押すと痛みを感じることがあります。

痛みを伴うしこりは、炎症が進行しているサインかもしれません。放置すると悪化するリスクがあるため、痛みが続く場合や強くなる場合は、早めに医療機関を受診して適切な治療を受けることが大切です。

痛みを伴わないしこり

耳たぶにしこりがあるけれど、特に痛みはないというケースもあります。痛みを伴わないしこりの主な原因としては、以下のようなものが考えられます。

  • 粉瘤(非炎症性): 炎症を起こしていない状態の粉瘤は、通常痛みがありません。触ると皮膚の下に丸い塊がある感触です。痛みがないからといって、自然に治るわけではありません。
  • ケロイド・肥厚性瘢痕: 傷跡が盛り上がったもので、かゆみや痛みを伴うこともありますが、痛みがほとんどないこともあります。触ると硬いのが特徴です。
  • 脂肪腫: 皮下組織にできる良性の脂肪の塊で、触ると柔らかく痛みはありません。
  • 軟骨腫: 耳介軟骨にできる良性の腫瘍で、触ると非常に硬く痛みはありません。
  • リンパ節の腫れ: 炎症が軽度な場合や、慢性的な原因によるリンパ節の腫れは、痛みを伴わないことがあります。

痛みがなくても、しこりがだんだん大きくなる、形がいびつ、硬くて動かない、といった変化がある場合は、念のため医療機関で相談することをおすすめします。特に、まれなケースとして悪性腫瘍の可能性もゼロではないため、自己判断せず専門医の診断を受けることが重要です。

できたり消えたりするしこり

耳たぶにしこりができたと思ったら、しばらくすると小さくなったり消えたりする、ということを繰り返す場合もあります。

このような症状の場合、最も可能性が高いのはニキビ毛嚢炎です。これらは毛穴の炎症であり、軽度であれば一時的に腫れても自然に炎症が治まり、小さくなることがあります。しかし、体調やスキンケアによって再発しやすい傾向があります。

また、風邪をひいた時など、一時的に耳の周りのリンパ節が腫れてしこりのように触れることがありますが、体調が回復するとリンパ節の腫れも引いていくため、「できたり消えたり」と感じることがあります。

できたり消えたりするしこりは、比較的軽度な原因であることが多いですが、繰り返す場合は何か原因があるのかもしれません。症状が気になる場合は、一度皮膚科などで相談してみると良いでしょう。

耳たぶのしこりは放置しても大丈夫?

耳たぶにしこりができたとき、「放っておけば治るかな?」「様子を見ても大丈夫かな?」と考える方もいるかもしれません。しかし、しこりの種類によっては放置することで様々なリスクが生じます。

放置することのリスク

耳たぶのしこりを放置することには、以下のようなリスクがあります。

  • 炎症の悪化: 特に粉瘤や感染性のできものは、放置すると炎症がどんどん悪化し、痛みや腫れが強くなります。膿がたまって破裂したり、周囲の組織に炎症が広がったりすることもあります。炎症が強い状態で治療する場合、治療期間が長引いたり、傷跡が残りやすくなったりすることがあります。
  • 大きくなる: 粉瘤やケロイド、脂肪腫などは、自然に小さくなることはなく、時間とともに少しずつ大きくなる傾向があります。大きくなると、見た目が気になったり、邪魔になったりするだけでなく、切除手術が必要になった場合の傷跡が大きくなる可能性もあります。
  • 治療が複雑になる: 炎症が強い粉瘤は、まずは膿を出す処置が必要になり、後日改めて袋を摘出する手術が必要になるなど、治療が複数回にわたる場合があります。ケロイドも大きくなると治療が難しくなることがあります。
  • 診断の遅れ: まれなケースですが、悪性腫瘍である可能性もゼロではありません。放置することで診断が遅れ、早期に治療すれば治癒したかもしれない病気が進行してしまうリスクがあります。
  • 不快な症状の継続: 痛みやかゆみ、見た目の問題などが続いたり、悪化したりすることで、日常生活に支障が出たり、精神的なストレスになったりすることがあります。

### 自然に治る可能性

しこりの原因によっては、自然に治る可能性がないわけではありません。

  • ニキビや毛嚢炎: 軽度なものであれば、特別な治療をしなくても自然に炎症が治まり、数日から1週間程度で小さくなったり消えたりすることがあります。
  • リンパ節の腫れ: 風邪などの一時的な感染症が原因の場合は、原因となっている病気が治ればリンパ節の腫れも自然に引いていくことがほとんどです。

しかし、粉瘤やケロイド、脂肪腫などは、自然に治ることはありません。小さくなることはあっても、原因である袋や組織が残っている限り、再発したり、再び大きくなったりする可能性があります。

「自然に治るかもしれない」と自己判断して放置するのは危険です。特に、しこりが大きくなる、痛みが強い、赤みが広がる、熱を持つ、などの症状がある場合は、様子を見ずに必ず医療機関を受診してください。症状がなくても気になる場合や、何週間も続く場合は、一度専門医に相談して原因を特定してもらうことが大切です。

こんな耳たぶのしこりは要注意!受診の目安

耳たぶにしこりができた場合、全てのケースで慌てて受診する必要はありませんが、中には注意が必要な症状もあります。以下のような症状が見られる場合は、できるだけ早く医療機関を受診することをおすすめします。

  • 急に腫れ上がってきた、痛みが強い: 粉瘤の炎症や細菌感染など、急性の炎症が考えられます。放置すると悪化するリスクがあります。
  • 赤みや腫れが広範囲に及ぶ、熱を持っている: 感染が広がっている可能性があります。全身症状(発熱など)を伴う場合は特に注意が必要です。
  • 膿が出てきた: 粉瘤や感染性のできものに膿がたまっているサインです。適切な処置が必要です。
  • しこりが急速に大きくなる: 良性の腫瘍でも大きくなることはありますが、稀に悪性腫瘍の可能性も考慮する必要があります。
  • 形がいびつ、硬い、皮膚に固定されていて動きが悪い: 良性のしこりは比較的境界がはっきりしており、ある程度動くことが多いですが、悪性の場合は境界が不明瞭で硬く、周囲組織に固着していることがあります。
  • しこりの表面がただれている、出血しやすい: 悪性腫瘍や難治性の感染症などの可能性も考慮する必要があります。
  • 痛みがなくても、何週間も続く、だんだん大きくなる: 自然に治らないタイプのしこり(粉瘤、ケロイドなど)や、稀なケースの可能性も考えられます。
  • 発熱や体のだるさなど、他の全身症状を伴う: 感染症など、原因疾患の可能性が考えられます。
  • とにかく不安を感じる: 症状が軽度であっても、不安を感じる場合は専門家に相談することで安心できます。

上記のチェックリストに当てはまる症状がある場合はもちろん、そうでなくても、しこりが気になって日常生活に支障が出ている、原因を知って安心したい、といった場合も、迷わずに医療機関を受診しましょう。早期に診断を受けることで、原因に応じた適切な治療を早く開始できます。

耳たぶのしこりは何科を受診すべき?

耳たぶのしこりで医療機関を受診する場合、何科に行けば良いのか迷うかもしれません。しこりの原因によって適した診療科が異なりますが、いくつかの選択肢があります。

受診を検討する診療科

耳たぶのしこりでまず最初に受診を検討すべきは、皮膚科または形成外科です。

  • 皮膚科:
    • 皮膚のできもの全般(粉瘤、ニキビ、毛嚢炎、感染性のできもの、湿疹など)の診断と治療を専門としています。
    • 耳たぶのしこりの原因として最も多い粉瘤やニキビ、毛嚢炎などの診断は皮膚科で可能です。
    • 炎症を起こした粉瘤に対する抗生剤治療や切開排膿、比較的小さな粉瘤の摘出手術も皮膚科で行われることがあります。
    • ケロイドや肥厚性瘢痕の初期治療(ステロイド注射や貼り薬など)も皮膚科で対応可能です。
  • 形成外科:
    • 体の表面の見た目や機能の改善を目的とした外科的な治療を専門としています。
    • 耳たぶの粉瘤の摘出手術は、傷跡をきれいに仕上げるという観点から、形成外科で積極的に行われています。特に「くり抜き法」などの術式に習熟していることが多いです。
    • ケロイドや肥厚性瘢痕の専門的な治療(手術と他の治療の組み合わせなど)も形成外科で行われます。
    • 脂肪腫やその他の皮下腫瘍の摘出も形成外科の守備範囲です。

迷う場合は、まずは皮膚科を受診するのが一般的です。皮膚科で診断をつけてもらい、もし専門的な手術が必要な場合や、ケロイドなどの特殊な治療が必要な場合は、形成外科を紹介してもらうという流れが良いでしょう。

その他、しこりの原因としてリンパ節の腫れが強く疑われる場合や、耳の穴やのどの痛みなど耳鼻咽喉科領域の症状を伴う場合は、耳鼻咽喉科を受診するという選択肢もあります。耳鼻咽喉科でも耳の周りのリンパ節や耳介のできものを診察できます。

原因がはっきりしない場合や、どの科に行けば良いか分からない場合は、まずはかかりつけ医や地域の総合病院の受付などで相談してみるのも良いでしょう。

病院選びのポイント

耳たぶのしこりで受診する医療機関を選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。

  • 専門性: 粉瘤の摘出手術やケロイド治療を専門的に行っている、または得意としている医師がいるかどうかが重要です。病院のウェブサイトなどで診療内容や医師の経歴を確認してみましょう。
  • 手術方法: 粉瘤の場合、傷跡が小さく済む「くり抜き法」などの手術方法に対応しているかどうかも確認すると良いでしょう。特に耳たぶは目立つ部位なので、傷跡は気になるところです。日帰り手術が可能かどうかも確認しておくと、通院の負担が軽減されます。
  • アクセスと通院のしやすさ: 診断や治療によっては、何度か通院が必要になることがあります。自宅や職場からのアクセスが良いかどうかも考慮しましょう。
  • 口コミや評判: 実際にその医療機関を受診した人の口コミや評判も参考になりますが、鵜呑みにせず、あくまで参考情報として捉えましょう。
  • 医師との相性: 症状についてしっかり話を聞いてくれて、分かりやすく説明してくれる医師を選ぶことも大切です。

もし可能であれば、いくつかの医療機関の情報を集め、比較検討してから受診先を決めると、より納得のいく治療を受けられる可能性が高まります。

まとめ 耳たぶのしこりで悩んだら専門医へ相談

耳たぶにしこりができる原因は、粉瘤、ケロイド、感染、ニキビ、リンパ節の腫れなど、多岐にわたります。多くは良性のものですが、痛みを伴ったり、だんだん大きくなったり、形がいびつだったりする場合は、注意が必要です。

しこりの種類によっては、放置すると炎症が悪化したり、治療が複雑になったり、稀に重篤な病気の見落としにつながったりするリスクがあります。「このくらいなら大丈夫」と自己判断せず、気になるしこりがある場合は、一度専門医に相談することをおすすめします。

受診を検討する診療科は、主に皮膚科形成外科です。どちらの科でも耳たぶのできものを診察できますが、手術が必要な場合やケロイドの治療など、専門的な治療は形成外科が得意としていることが多いです。まずは皮膚科で診断を受け、必要に応じて形成外科を紹介してもらうのが一般的な流れです。

早期に専門医の診断を受けることで、しこりの正確な原因が分かり、原因に応じた適切な治療を早く開始することができます。それによって、症状の悪化を防ぎ、よりきれいに治癒させることが期待できます。耳たぶのしこりで悩んだら、一人で抱え込まず、まずは医療機関のドアを叩いてみてください。

免責事項: この記事は耳たぶのしこりに関する一般的な情報を提供するものであり、特定の疾患の診断や治療法を保証するものではありません。個々の症状に関しては、必ず医療機関を受診し、医師の判断を仰いでください。この記事の情報に基づいた行為によって生じたいかなる不利益に関しても、当サイトは責任を負いかねます。