【皮膚科医監修】顔イボの正しい治し方|原因・種類から自分で取る危険性まで解説

ふと鏡を見ると、顔に気になるポツっとしたイボが…。
「これって何?」「どうしてできたの?」「自分で取ってもいい?」など、顔のイボに関する悩みや疑問は尽きないものです。特に顔は人目につきやすい部分なだけに、コンプレックスに感じている方も少なくないでしょう。

顔にできるイボには、実はいくつかの種類があり、それぞれ原因や適切な対処法が異なります。間違ったケアは、かえって症状を悪化させたり、跡を残してしまったりする原因にもなりかねません。

この記事では、顔にできるイボの種類や原因、皮膚科で行われる正しい治療法、そして自分で取ることの危険性について、詳しく解説していきます。
あなたの悩みを解消し、適切な一歩を踏み出すための参考にしてください。

顔のイボとは?主な種類と特徴

一般的に「イボ」と呼ばれるものには、医学的に様々な種類が含まれます。顔にできるイボは、主にウイルスが原因でできるものと、加齢や紫外線が原因でできるものに大別されます。見た目が似ていても、悪性の腫瘍(皮膚がん)の可能性もゼロではないため、自己判断は禁物です。

顔にできるイボの種類

顔にできやすい代表的なイボは以下の3つです。

  • 尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい):ウイルス性のイボで最も一般的
  • 青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい):若い人にできやすい平たいウイルス性のイボ
  • 老人性疣贅(ろうじんせい疣贅):加齢や紫外線によるイボ(別名:脂漏性角化症)

それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

尋常性疣贅

ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因でできる、最も一般的なイボです。

  • 見た目: 表面がザラザラした、硬く盛り上がった形が特徴。顔だけでなく、手足の指などにもよく見られます。
  • : 肌色〜褐色。
  • 特徴: 小さな傷口からウイルスが入り込むことで感染します。放置すると大きくなったり、数が増えたりすることがあります。

青年性扁平疣贅

その名の通り、思春期から青年期の若い人の顔や手の甲にできやすいウイルス性のイボです。

  • 見た目: わずかに盛り上がった平たい形。
  • : 肌色〜薄い褐色。
  • 特徴: 一度にたくさんできることが多く、カミソリ負けなどの細かい傷に沿って線状に広がることもあります。

老人性疣贅(脂漏性角化症)

一般的に「老人性イボ」と呼ばれるもので、ウイルス性ではなく、加齢や長年浴びてきた紫外線による皮膚の老化現象の一つです。

  • 見た目: 平たいシミのようなものから、次第に盛り上がってくる。表面はザラザラしていることが多い。
  • : 肌色、褐色、黒色など様々。
  • 特徴: 伝染性はありません。顔のほか、頭部、首、体幹など、紫外線を浴びやすい部位によく見られます。

肌色や小さいイボ

顔にできる肌色の小さいイボの多くは、この老人性疣贅(脂漏性角化症)の初期段階や、アクロコルドン(スキンタッグ)と呼ばれる良性の皮膚腫瘍であることが多いです。
これらも加齢や摩擦が主な原因と考えられています。

顔にたくさんできるイボ

顔にイボがたくさんできる場合、青年性扁平疣贅のようにウイルスが広がっているケースと、老人性疣贅が多発しているケースが考えられます。
種類によって対処法が異なるため、皮膚科での正確な診断が重要です。

顔のイボができる原因

顔のイボができる主な原因は「ウイルス感染」と「加齢・紫外線」の2つです。

ウイルス感染によるイボ

尋常性疣贅や青年性扁平疣贅は、ヒトパピローマウイルス(HPV)が皮膚の小さな傷から侵入し、感染することで発生します。

  • 感染経路: プールや公衆浴場、または自己処理によるカミソリ負けの傷など。
  • 特徴: 免疫力が低下していると感染しやすくなります。感染力は強くありませんが、イボを触った手で他の部位を触ると、ウイルスが広がってしまう可能性があります(自家接種)。

注意
ウイルス性のイボは他人にうつる可能性もゼロではありません。タオルなどを共有するのは避けましょう。

加齢や紫外線によるイボ(老人性イボ)

老人性疣贅(脂漏性角化症)はウイルス性ではなく、肌の老化現象の一つです。

  • 主な原因: 長年にわたって浴び続けた紫外線によるダメージの蓄積が最大の原因とされています。
  • 特徴: 年齢を重ねるごとにできやすく、数も増える傾向があります。遺伝的な要因も関係すると言われています。

その他の原因

上記以外にも、衣類のこすれやスキンケア時の摩擦といった物理的な刺激が、イボ、特に首周りにできるアクロコルドン(スキンタッグ)の発生に関与していると考えられています。

顔のイボの正しい治し方・治療法

顔のイボは見た目が気になるだけでなく、悪性の病気との鑑別も必要なため、まずは皮膚科を受診することが大原則です。

皮膚科でのイボ治療

皮膚科では、イボの種類、大きさ、場所、数などを考慮して、最適な治療法を選択します。

治療法 概要 メリット デメリット・注意点
液体窒素療法 -196℃の液体窒素でイボを凍結させ、壊死させる。ウイルス性イボの標準治療。 ・保険適用で安価
・処置時間が短い
・痛みを伴う
・数回の通院が必要
・色素沈着のリスクがある
レーザー治療 炭酸ガスレーザーなどでイボを蒸散させる。老人性イボや難治性のウイルス性イボに用いられる。 ・治りが早く、傷跡が綺麗に仕上がりやすい
・1回で取れることが多い
・自費診療で高額になりやすい
・赤みや色素沈着のリスクがある
切開法 メスでイボを物理的に切除し、縫合する。比較的大きなイボや悪性が疑われる場合に選択される。 ・再発が少ない
・病理検査で確定診断ができる
・傷跡が残る可能性がある
・ダウンタイムが必要
内服薬・外用薬 内服薬: ハトムギ由来のヨクイニンで免疫力を高め、イボを改善に導く。
外用薬: 角質を柔らかくする薬など。
・痛みが少ない
・広範囲のイボに有効な場合がある
・効果が出るまでに時間がかかる
・単独での治療は難しい場合が多い

顔のイボが取れるまでの期間・回数(何日で取れる?)

治療期間はイボの種類や治療法によって大きく異なります。

  • 液体窒素療法: 1〜2週間に1回の通院を数回〜数ヶ月必要とすることが多いです。
  • レーザー治療: 多くの場合は1回の治療で済みますが、術後にかさぶたが取れるまで1〜2週間程度かかります。

「何日で取れるか」は個人差が大きいため、治療前に医師に確認しましょう。

顔イボ治療にかかる費用

  • 保険適用: ウイルス性のイボ(尋常性疣贅など)に対する液体窒素療法や内服薬治療は、基本的に保険が適用されます。自己負担3割の場合、1回あたり数千円程度が目安です。
  • 自費診療: 老人性イボ(脂漏性角化症)の治療や、美容目的のレーザー治療は自費診療となります。費用はクリニックやイボの大きさ・数によって異なり、数千円〜数万円以上と幅があります。

顔のイボを自分で取るのは危険?

「気になるから自分で取りたい」と考える方もいるかもしれませんが、顔のイボを自分で処置するのは非常に危険です。

市販薬(イボコロリなど)の使用について

ドラッグストアで販売されている「イボコロリ」などの市販薬は、サリチル酸という成分で角質を溶かす薬です。
これらは主に足の裏の硬いタコや魚の目に使われるもので、皮膚の薄い顔への使用は想定されていません。

添付文書にも「顔面には使用しないこと」と明記されていることがほとんどです。無理に使うと、健康な皮膚まで傷つけてしまい、炎症や深刻な傷跡を残す原因になります。

自己判断での処置のリスク

  • 感染の拡大: ウイルス性のイボを自分でいじると、ウイルスが周囲に広がり、イボが増えてしまう可能性があります。
  • 傷跡が残る: 無理に剥がしたり、ハサミで切ったりすると、深い傷跡や色素沈着が残ってしまいます。
  • 悪性腫瘍の見逃し: イボによく似た皮膚がん(基底細胞がん、有棘細胞腫、悪性黒色腫など)の可能性があります。専門医でなければ見分けは困難です。万が一、悪性のものを刺激してしまうと、取り返しのつかないことになる恐れがあります。

顔のイボに関するよくある質問(Q&A)

Q. 顔にイボができやすい人の特徴は?

A. 以下のような特徴がある方は、イボができやすい傾向があります。

  • ウイルス性イボの場合: 免疫力が低下している方、アトピー性皮膚炎などで肌のバリア機能が弱い方、カミソリなどで自己処理をする習慣がある方。
  • 老人性イボの場合: 年齢を重ねた方、若い頃から紫外線を浴びる機会が多かった方、肌が乾燥しやすい方。

Q. 顔イボを予防する方法はある?

A. 完全に防ぐことは難しいですが、以下の対策が予防につながります。

  • 紫外線対策: 日焼け止めを毎日塗る、帽子や日傘を活用するなど、年間を通して紫外線対策を徹底することが、特に老人性イボの予防に最も効果的です。
  • 保湿ケア: 肌をしっかり保湿し、バリア機能を正常に保つことで、外部からの刺激やウイルスの侵入を防ぎます。
  • バランスの取れた生活: 規則正しい生活やバランスの良い食事、十分な睡眠を心がけ、免疫力を維持しましょう。
  • 肌への刺激を避ける: 顔をゴシゴシこすらない、カミソリ負けに注意するなど、物理的な刺激を減らすことも大切です。

まとめ:顔のイボに悩んだら皮膚科へ相談を

顔にできたイボは、見た目の問題だけでなく、その原因や種類によって対処法が大きく異なります。ウイルス性であれば治療が必要な場合が多く、老人性のものだとしても、悪性の皮膚疾患との鑑別は欠かせません。

最も安全で確実な方法は、自己判断で触らずに、まずは皮膚科の専門医に相談することです。

専門医であれば、正確な診断のもと、あなたのイボの種類や肌の状態に合わせた最適な治療法を提案してくれます。
気になる顔のイボを正しく治療して、自信の持てる素肌を取り戻しましょう。


免責事項: この記事は情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療に代わるものではありません。皮膚に異常を感じた場合は、速やかに専門の医療機関を受診してください。