ブイビームは、赤ら顔や血管腫、ニキビ跡の赤みなど、血管に関わるさまざまな肌トラブルの治療に用いられるレーザー機器です。特定の波長の光を利用して、異常に増殖した血管や赤みの原因となるヘモグロビンに反応させ、これらの問題を改善します。治療効果はもちろん、痛みやダウンタイム、費用、保険適用についてなど、ブイビームに関する疑問や不安をお持ちの方も多いでしょう。この記事では、ブイビーム治療の仕組みから効果、回数、痛み、料金、リスクまで、詳しく解説します。ブイビーム治療をご検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
ブイビームとは?レーザーの仕組みと特徴
ブイビーム(Vbeam)は、色素レーザーと呼ばれる種類の医療用レーザー機器です。特に、血液中のヘモグロビンに選択的に吸収されやすい、特定の波長のレーザー光を発するのが特徴です。血管に関する肌トラブルの治療において、世界的に広く使用されており、その効果と安全性が確立されています。
Vビームレーザーの基本原理
Vビームレーザーは、主に波長595nmのレーザー光を使用します。この波長は、血液中のヘモグロビンに非常に効率よく吸収される性質を持っています。
肌の赤みや血管腫は、皮膚の浅い層や深い層に異常な毛細血管が増殖していたり、拡張していたりすることで生じます。Vビームレーザーを照射すると、レーザー光が皮膚を通過し、ターゲットとなる血管内のヘモグロビンに吸収されます。吸収されたレーザーエネルギーは熱に変換され、血管壁を破壊したり、凝固させたりすることで、異常な血管を閉塞させます。これにより、肌表面の赤みや盛り上がりを改善することができます。
重要な点は、このレーザーがヘモグロビンに選択的に作用するため、周囲の正常な皮膚組織へのダメージを最小限に抑えられるということです。肌の他の成分(メラニンなど)への吸収が少ないため、合併症のリスクも比較的低いとされています。ただし、メラニンへの吸収がゼロではないため、日焼けした肌や色黒肌の場合には注意が必要です。
DCD™(ダイナミッククーリングデバイス)とは
ブイビームの安全性と快適性を高めている技術の一つに、DCD™(Dynamic Cooling Device)があります。これは、レーザー照射直前に冷却ガスを皮膚表面に吹き付けるシステムです。
DCD™の主な役割は以下の通りです。
- 皮膚表面の保護: レーザー光はターゲットである血管(皮膚の下)に到達する前に皮膚表面を通過します。特に表皮はメラニンを含むため、レーザー熱によるダメージを受けやすい可能性があります。DCD™による冷却は、レーザー照射直前の数ミリ秒の間に皮膚表面の温度を瞬間的に下げることで、熱傷(やけど)のリスクを軽減し、表皮を保護します。
- 痛みの軽減: 冷却効果により、レーザー照射時の熱による痛みを和らげることができます。これにより、麻酔なしでの施術も可能な場合が多くなり、患者さんの負担を軽減します。
- より効果的な治療: 皮膚表面を安全に保護することで、ターゲットである血管に十分なエネルギーを届けることが可能になり、治療効果を高めることにつながります。
DCD™は、ブイビーム治療の安全性を高め、患者さんの不快感を軽減するために非常に重要な役割を果たしています。これにより、デリケートな顔の治療などにおいても、安心して施術を受けることができます。
ブイビームの効果と対象となる症状
ブイビームレーザーは、血液中のヘモグロビンに反応する特性を活かして、血管性の病変や赤みを伴うさまざまな肌トラブルの治療に有効です。主な対象疾患は以下の通りです。
赤ら顔・酒さ
赤ら顔や酒さ(しゅさ)は、顔の毛細血管が拡張したり増殖したりすることで、頬や鼻などに持続的な赤みが生じる状態です。Vビームレーザーは、これらの拡張・増殖した毛細血管を選択的に破壊することで、赤みを軽減します。酒さの場合、炎症性の赤みや丘疹(ブツブツ)にも効果が期待できることがあります。複数回の治療を継続することで、赤みの改善が見込めます。
ニキビ跡の赤み
ニキビが治った後に一時的に残る赤みは、炎症によって毛細血管が新生・拡張したことが原因です。この赤みは時間とともに自然に消えることが多いですが、数ヶ月から1年以上かかる場合もあります。Vビームレーザーは、この新生・拡張した血管に働きかけ、赤みの消失を早める効果があります。ニキビの炎症自体にもアプローチできるため、活動性のニキビとニキビ跡の赤みを同時に治療できる場合もあります。
血管腫(老人性血管腫・単純性血管腫など)
血管腫は、毛細血管や静脈が増殖してできる良性の腫瘍です。
- 老人性血管腫(cherry angioma): 高齢者に多く見られる、皮膚にできる赤くて小さな盛り上がりです。Vビームレーザーは、この血管の塊を熱で凝固・破壊し、除去することができます。通常1回の治療で効果が見られることが多いですが、病変の大きさや深さによっては複数回必要な場合もあります。
- 単純性血管腫(port-wine stain): 生まれつき見られる、皮膚の平坦な赤いあざです。これは異常に拡張した毛細血管の集まりで、自然に消えることはありません。Vビームレーザーは、この血管をターゲットとして、あざの色を薄くする治療に有効です。治療には複数回が必要で、根気強く続けることで改善が期待できます。
その他、苺状血管腫(infantile hemangioma)などの治療にも用いられることがあります。
傷跡・ケロイドの赤み
手術の傷跡や外傷、ニキビ跡などが盛り上がってできるケロイドや肥厚性瘢痕は、増殖した線維組織と新生血管が原因で、赤みや痒みを伴うことがあります。Vビームレーザーは、この新生血管に作用することで、傷跡やケロイドの赤みを軽減し、痒みを和らげる効果が期待できます。また、血行が改善されることで、線維組織の再構築を促し、盛り上がりの平坦化にもわずかに寄与する可能性があります。他の治療法(ステロイド注射など)と組み合わせて行われることもあります。
毛細血管拡張症
顔や体の皮膚表面に、細い血管が線状や網目状に浮き出て見える状態です。特に、鼻の周りや頬などに多く見られます。これは皮膚の浅い層の毛細血管が拡張したもので、Vビームレーザーはこの拡張した血管を標的に破壊することで、見た目を改善します。比較的細い血管の場合、比較的少ない回数で効果が見られることが多いです。
その他の効果(小じわ、肌質改善)
Vビームレーザーの熱エネルギーは、血管だけでなく、皮膚の真皮層にある線維芽細胞にもわずかな刺激を与えます。これにより、コラーゲンやエラスチンの生成が促進されると考えられており、肌のハリや弾力の向上、キメの改善、軽度の小じわの改善といった肌質改善効果も期待できる場合があります。これは、主に血管性病変の治療目的で使用した際に副次的に得られる効果であり、ブイビーム単独で積極的なエイジングケアとして行うよりも、他のレーザー治療や美容施術と組み合わせることで、より効果を実感しやすいとされています。
ブイビームが有効な主な症状を表にまとめました。
症状 | 特徴 | ブイビームの効果 | 治療回数目安(自由診療) | 保険適用 |
---|---|---|---|---|
赤ら顔・酒さ | 顔面の持続的な赤み、血管拡張 | 拡張・増殖した毛細血管の収縮・破壊 | 5回〜10回以上 | 酒さの一部 |
ニキビ跡の赤み | ニキビ治癒後の炎症性赤み | 新生・拡張した血管の収縮・破壊、炎症軽減 | 3回〜5回 | なし |
血管腫 | 皮膚の赤色腫瘍(老人性、単純性など) | 異常血管の凝固・破壊 | 1回〜数回(種類による) | 単純性血管腫など |
傷跡・ケロイドの赤み | 傷跡・ケロイドに伴う赤み、痒み | 新生血管の収縮・破壊、炎症軽減 | 数回〜10回以上 | ケロイドの一部 |
毛細血管拡張症 | 皮膚表面の細い血管の浮き出 | 拡張した毛細血管の収縮・破壊 | 3回〜5回 | なし(疾患による) |
小じわ、肌質改善 | 軽度の小じわ、ハリ・キメの乱れ | コラーゲン生成促進(副次的効果) | 複数回 | なし |
※上記は一般的な目安であり、症状の程度や個人差、クリニックの方針によって異なります。
※保険適用については、診断名や病変の状態によって医師の判断が必要となります。
ブイビーム治療に必要な回数と期間
ブイビーム治療の効果を十分に得るためには、多くの場合、複数回の治療が必要です。治療回数や期間は、治療対象となる症状の種類、病変の深さや範囲、患者さんの肌質や反応性、そして目標とする改善レベルによって大きく異なります。
症状別の治療回数目安
症状 | 一般的な治療回数目安 |
---|---|
赤ら顔・酒さ | 5回〜10回以上 |
ニキビ跡の赤み | 3回〜5回 |
血管腫 | 1回〜数回(種類や大きさによる) |
傷跡・ケロイドの赤み | 数回〜10回以上 |
毛細血管拡張症 | 3回〜5回 |
- 赤ら顔・酒さ: 持続的な赤みや広範囲の血管拡張の場合、改善には回数がかかります。症状が軽い場合は5回程度で変化を感じ始めることもありますが、重度の場合は10回以上の治療が必要になることも珍しくありません。
- ニキビ跡の赤み: 比較的浅い血管性の変化であるため、赤ら顔よりも少ない回数で効果を感じやすい傾向があります。3回程度の治療で目に見える改善が見られることが多いですが、濃い赤みの場合は5回程度必要になることもあります。
- 血管腫: 老人性血管腫のような局所的な病変は、多くの場合1〜2回の治療で除去できます。単純性血管腫のような広範囲のあざの場合、色を薄くすることが目標となり、非常に多くの回数(10回以上、場合によっては20回以上)と長期間の治療が必要になります。
- 傷跡・ケロイドの赤み: 線維組織の増殖も伴うため、血管腫やニキビ跡の赤みよりも回数がかかる傾向があります。他の治療法との組み合わせも検討されます。
- 毛細血管拡張症: 細い血管の場合、比較的反応が良いですが、太い血管や広範囲の場合には複数回必要です。
これはあくまで一般的な目安であり、個々の状態によって必要な回数は大きく変動します。治療開始前に医師としっかり相談し、自身の症状に対する具体的な治療計画を確認することが重要です。
効果を実感できるまでの期間
多くの場合、治療効果は1回の施術後すぐに劇的に現れるというよりは、複数回の治療を重ねるごとに徐々に実感できるようになります。
- 血管腫(老人性など): 局所的な血管腫の場合、治療直後から病変の色が濃くなったり、紫斑ができたりし、数週間かけて薄くなり消えていきます。1回の治療で十分な効果が得られることもあります。
- 赤ら顔、ニキビ跡の赤みなど: 1回の治療後、一時的に赤みや腫れが出ますが、これが落ち着いた後、わずかに赤みが軽減されたと感じる方もいます。しかし、多くの場合、2回、3回と回数を重ねるごとに、赤みが少しずつ薄くなっていくのを実感できます。明確な効果を実感できるのは、概ね3回程度の治療を終えた頃からという方が多い傾向にあります。ただし、症状の程度や肌質によっては、それ以上の回数が必要な場合もあります。
最終的な治療効果が現れるまでには、治療回数に応じた期間が必要です。例えば、5回治療を行う場合、推奨される治療間隔で続けると、半年から1年程度の期間がかかります。
推奨される治療間隔
ブイビーム治療の推奨される治療間隔は、治療対象となる病変の種類や状態によって異なりますが、一般的には3週間から1ヶ月半(約3〜6週間)程度の間隔で行われることが多いです。
この間隔は、レーザー照射によってダメージを受けた血管や組織が修復・吸収されるまでの期間を考慮して設定されています。短すぎると、皮膚の回復が不十分な状態で次の刺激を与えることになり、合併症のリスクを高める可能性があります。長すぎると、それまでの治療効果が薄れてしまう可能性があり、効率的な治療が進まないことがあります。
特に保険診療の場合、疾患によっては治療間隔が定められていることがあります(例: 単純性血管腫の保険診療では、原則として同一部位への照射は3ヶ月以上の間隔を空ける必要があるなど)。自由診療の場合も、肌の状態を医師が診断し、最適な間隔を提案します。
適切な間隔で治療を継続することが、安全かつ効果的に治療を進めるために重要です。治療期間中は、医師の指示に従ってスケジュールを守るようにしましょう。
ブイビーム治療の痛みとダウンタイム
レーザー治療を検討する際に、多くの人が気になるのが「痛み」と「ダウンタイム」です。ブイビーム治療における痛みや、施術後の経過について解説します。
治療時の痛みについて
ブイビーム治療の痛みは、個人差や照射する部位、エネルギー設定によって異なりますが、一般的には「輪ゴムでパチンと弾かれたような痛み」と表現されることが多いです。
多くの患者さんが、麻酔なしで耐えられる程度の痛みだと感じています。これは、ブイビームに搭載されているDCD™(ダイナミッククーリングデバイス)が、レーザー照射直前に皮膚表面を冷却し、痛みを軽減する効果があるためです。
- 痛みの感じ方: 施術中は、レーザーが照射されるたびに瞬間的な熱感と痛みを伴います。特に、血管が密集している部位や、皮膚の薄い部位(目の周りなど)は、やや痛みを感じやすい傾向があります。
- 麻酔: 痛みに敏感な方や、広範囲を治療する場合、お子さんの治療などでは、ご希望に応じて麻酔クリームを事前に塗布したり、冷却パックを使用したりすることで、痛みをさらに軽減することが可能です。麻酔クリームを使用する場合は、施術時間の30分〜1時間程度前に塗布する必要があります。
痛みの感じ方には個人差が大きいため、不安な場合は事前に医師に相談し、痛みを和らげる方法について確認しておくと良いでしょう。
施術後の経過(赤み、腫れ、紫斑)
ブイビーム治療後の肌の状態は、照射方法やエネルギー設定、そして個人の肌の反応によって異なります。主な経過としては、以下の症状が現れることがあります。
- 赤みと腫れ: 治療直後から、照射部位に赤み(紅斑)や軽い腫れ(浮腫)が現れるのが一般的です。これはレーザーの熱による炎症反応であり、通常数時間から1日程度で自然に落ち着いてきます。冷やすことで症状の軽減を早めることができます。
- 紫斑(内出血): 高いエネルギー設定で血管をしっかり破壊した場合や、血管腫などの疾患を治療した場合には、照射部位に紫斑(あざ)ができることがあります。これは、レーザーによって破壊された血管から血液が漏れ出すことで起こる一時的な内出血です。紫斑の色は、最初は赤紫色ですが、時間の経過とともに青っぽくなり、黄色くなって、通常1〜2週間(長い場合で3週間程度)かけて吸収され消失します。紫斑が出るような設定で照射するかどうかは、治療目的や医師の判断によります。赤ら顔やニキビ跡の赤みなどの美容目的の治療では、紫斑が出にくい(あるいは全く出ない)設定で行われることも多いです。
- かさぶた: まれに、照射部位にごく薄いかさぶたができることがあります。これは皮膚表面への熱影響によるもので、自然に剥がれ落ちるのを待ちましょう。無理に剥がすと色素沈着の原因になることがあります。
- 色素沈着: レーザー治療の一般的なリスクとして、炎症後色素沈着があります。特に、施術後の紫外線対策を怠ったり、掻いたり擦ったりすると起こりやすくなります。通常は数ヶ月かけて薄くなっていきますが、予防が最も重要です。
これらのダウンタイム症状は一時的なものであり、時間の経過とともに改善します。ただし、症状の程度や期間には個人差があります。
ダウンタイム中の注意点
ブイビーム治療のダウンタイム中に、より安全かつ快適に過ごすためには、いくつかの注意点があります。
- 冷却: 治療直後の赤みや腫れ、熱感が気になる場合は、清潔なタオルに包んだ保冷剤などで優しく冷却すると症状が和らぎます。
- 保湿: 施術後の肌は一時的に乾燥しやすくなります。普段使用している化粧水や乳液で、いつも以上にしっかりと保湿ケアを行いましょう。刺激の少ない敏感肌用のスキンケア製品を使用するのがおすすめです。
- 紫外線対策: 最も重要なのが紫外線対策です。施術後の肌は非常にデリケートになっており、紫外線の影響を受けやすくなっています。紫外線は色素沈着の原因となるだけでなく、肌の回復を遅らせる可能性もあります。外出時は日焼け止め(SPF30以上、PA+++以上推奨)を塗り、帽子や日傘なども活用して徹底的に紫外線を避けましょう。屋内にいても窓からの紫外線に注意が必要です。
- 擦ったり掻いたりしない: 治療部位を強く擦ったり掻いたりする行為は、肌に刺激を与え、炎症を悪化させたり色素沈着の原因になったりします。かゆみがある場合も、掻かずに優しく冷やすなどで対処しましょう。
- メイク・洗顔: 施術当日から洗顔やシャワーは可能ですが、照射部位を強く擦らないように注意しましょう。メイクは、施術部位に紫斑がなければ当日から可能な場合が多いですが、クリニックの方針に従ってください。紫斑がある場合は、コンシーラーなどでカバーすることも可能ですが、肌に負担をかけないように注意が必要です。
- 入浴・飲酒・激しい運動: 治療当日は、体温が上昇するような行為(長時間の入浴、サウナ、飲酒、激しい運動など)は、赤みや腫れ、紫斑が悪化する可能性があるため、控えるのが無難です。軽いシャワー程度に留めましょう。
- 他の美容医療: ブイビーム治療期間中は、他のレーザー治療や光治療、ケミカルピーリングなど、肌に刺激を与える可能性のある美容医療を受ける場合は、必ず医師に相談してください。
ダウンタイム中の過ごし方について不明な点があれば、遠慮なくクリニックに問い合わせましょう。適切なアフターケアを行うことで、治療効果を高め、合併症のリスクを減らすことができます。
ブイビーム治療のリスクと副作用
ブイビーム治療は比較的安全性の高い治療法とされていますが、医療行為である以上、いくつかのリスクや副作用が存在します。ほとんどは一時的なものですが、まれに注意が必要なものもあります。
主なリスクと副作用は以下の通りです。
- 疼痛(痛み): 照射時の輪ゴムで弾かれたような痛み。DCD™や麻酔で軽減可能です。
- 紅斑(赤み): 治療直後に現れる一時的な赤み。数時間〜1日で落ち着きます。
- 腫脹(腫れ): 治療直後に現れる一時的な腫れ。数時間〜1日で落ち着きます。
- 紫斑(内出血): 血管を破壊した際に生じる内出血によるあざ。設定によっては出現し、通常1〜3週間で消失します。
- かさぶた: まれに、浅い熱傷により薄いかさぶたができることがあります。自然に剥がれるのを待ちます。
- 水疱(水ぶくれ): まれに起こる熱傷によるもの。適切な処置が必要です。
- 炎症後色素沈着: 治療後の炎症反応や紫外線などの影響により、照射部位が一時的に茶色くなることがあります。通常数ヶ月で自然に薄れていきますが、予防のためには徹底した紫外線対策が必要です。
- 炎症後色素脱失: まれに、照射部位の色が一時的に抜けることがあります。多くは自然に回復しますが、回復に時間がかかる場合もあります。
- 瘢痕(傷跡): 非常にまれですが、強い熱傷などにより傷跡が残るリスクもゼロではありません。
- アレルギー反応: レーザー治療自体に対するアレルギー反応は稀ですが、使用する麻酔クリームなどにアレルギー反応を起こす可能性はあります。
これらのリスクや副作用について、治療を受ける前に医師から十分な説明を受け、理解しておくことが重要です。特に、紫斑は出る場合と出ない場合がありますが、疾患によっては紫斑が出た方が効果が高いとされることもあります。治療目的やダウンタイムの許容度について、医師とよく相談しましょう。
施術後の経過で異常を感じた場合や、上記以外の症状が現れた場合は、速やかにクリニックに連絡し、指示を仰いでください。
ブイビーム治療が効かないと感じるケースとその原因
ブイビーム治療は多くの血管性病変に有効ですが、「思ったほど効果が感じられない」「全然良くならない」と感じる方もいらっしゃいます。ブイビームが効かないと感じるケースや、その考えられる原因について説明します。
効果が出にくい症状・肌状態
ブイビームは血管内のヘモグロビンに反応するレーザーであるため、血管性以外の原因による赤みや病変には効果が期待できません。
- 血管性ではない赤み: 例えば、皮膚の薄さによる透けて見えるような赤み(皮膚が菲薄化している場合)、アトピー性皮膚炎による炎症性の赤み(活動期の強い湿疹)、接触皮膚炎によるかぶれなど、血管拡張や新生が原因ではない赤みにはブイビームの効果は限定的、あるいは全くありません。
- メラニン性の色素斑: シミ(老人性色素斑など)やそばかす、肝斑といったメラニンが原因の色素性の病変には、ブイビームは基本的に効果がありません。これらの治療には、波長の異なるレーザー(アレキサンドライトレーザー、YAGレーザーなど)が適しています。
- 線維組織の増殖が主体の病変: ケロイドや肥厚性瘢痕は、血管の増殖だけでなく線維組織の過剰な増殖も原因です。ブイビームは血管の赤みや痒みには効果が期待できますが、盛り上がり自体を劇的に平坦化させる効果は限定的です。盛り上がりの治療には、ステロイド注射などがより効果的な場合が多いです。
- 肌のトーン: 極端に色黒の肌や、施術直前に日焼けしている肌の場合、表皮のメラニンにレーザーエネルギーが吸収されてしまい、ターゲットである血管に十分なエネルギーが届きにくくなることがあります。また、熱傷や色素沈着のリスクも高まるため、安全な設定で照射せざるを得ず、結果として効果が弱まる可能性があります。
ブイビーム治療がご自身の症状に適しているかどうか、正確な診断を受けることが非常に重要です。
治療回数が足りない場合
ブイビーム治療は、多くの場合、1回の治療で全ての病変が改善するわけではなく、複数回の治療を積み重ねることで徐々に効果が現れてきます。特に、赤ら顔や単純性血管腫、広範囲のニキビ跡の赤みなど、広範囲にわたる血管病変や根深い病変の場合、効果を実感できるまでにかなりの回数が必要となることがあります。
- 設定エネルギー: 医師が患者さんの肌質や痛みの耐性、ダウンタイムの許容度などを考慮して、毎回最適なエネルギー設定で照射を行います。特に初回やリスクを避けたい場合は、控えめな設定から始めることがあります。設定が控えめな場合は、効果が出るまでに回数がかかる傾向があります。
- 病変の深さ・密度: 血管が皮膚の比較的深い層にあったり、血管の密度が非常に高かったりする場合、レーザーが血管に十分に届きにくかったり、1回の照射で処理できる血管の量に限界があったりするため、回数がかかることがあります。
- 治療間隔: 医師が推奨する治療間隔(3〜6週間など)を守らずに間隔が空きすぎたり、短すぎたりすると、治療効果が効率的に得られない可能性があります。
効果が出ないと感じた場合、まずは「まだ必要な治療回数に達していない可能性がある」ことを考慮する必要があります。医師と治療計画を再確認し、追加の治療が必要かどうか、設定の変更が可能かどうかなどを相談してみましょう。
また、まれにブイビーム治療への反応が極めて乏しい体質の方もいらっしゃる可能性もゼロではありません。その場合、他の治療法(内服薬、他のレーザーなど)を検討することも必要になります。治療効果に疑問を感じたら、自己判断せず、必ず担当医に相談することが大切です。
ブイビームの料金相場と保険適用
ブイビーム治療の費用は、治療対象となる疾患が保険適用になるか、あるいは自由診療で行うかによって大きく異なります。また、自由診療の場合はクリニックによって料金設定が大きく異なるため、事前に確認が必要です。
ブイビーム治療が保険適用になる疾患
ブイビーム治療は、以下の疾患に対して保険適用が認められています。
- 単純性血管腫(ポートワイン母斑)
- 苺状血管腫
- 毛細血管拡張症 (赤ら顔の中でも、鼻の周りの細い血管が浮き出ている「限局性の毛細血管拡張症」と診断された場合など、医師の判断によります)
- 肥厚性瘢痕・ケロイド (赤みを伴う活動性のものなど、医師の判断によります)
これらの疾患の場合、医師による診断の結果、保険適用の基準を満たすと判断されれば、健康保険が適用された費用で治療を受けることができます。保険適用の場合、3割負担(年齢によって1割または2割負担の場合もあり)となるため、費用負担が大幅に軽減されます。ただし、保険診療の場合、治療間隔や照射面積などに制約がある場合があります(例: 同一部位への照射は3ヶ月以上の間隔を空ける必要があるなど)。
保険診療と自由診療の違い
項目 | 保険診療 | 自由診療 |
---|---|---|
対象 | 特定の疾患(単純性血管腫、苺状血管腫など) | すべての症状(赤ら顔、ニキビ跡、美容目的など) |
費用負担 | 原則3割負担(年齢による) | 全額自己負担 |
治療間隔 | 疾患や部位によって定められている | 症状や肌状態に合わせて医師が判断 |
照射設定 | 疾患や部位によってある程度定められている | 症状や目標に合わせて医師が柔軟に設定 |
治療計画 | 保険診療のルールに基づく | 患者さんの希望も考慮し柔軟に対応 |
医師の診断 | 保険適用の可否を正確に診断 | 症状に適した治療法であるか判断 |
ご自身の症状が保険適用になるかどうかは、診察を受け、医師の診断が必要となります。保険適用外の疾患(例: 広範囲の赤ら顔やニキビ跡の赤みなど)や、美容目的での治療の場合は、自由診療となります。
自由診療の場合の料金目安
自由診療でのブイビーム治療費は、クリニックによって料金設定が大きく異なります。一般的には、以下の要素によって料金が設定されます。
- 照射面積: 顔全体、頬のみ、鼻のみなど、照射する範囲によって料金が変わります。〇〇㎠あたり〇〇円、といった設定や、部位ごとに固定料金が設定されている場合が多いです。
- 照射ショット数: レーザーを照射した回数(ショット数)に応じて料金が決まるクリニックもあります。
- パルス幅やフルエンス(エネルギー)設定: 疾患によっては、より高いエネルギー設定や特定のパルス幅での照射が必要となり、料金が高くなる場合があります。
- コース契約: 複数回の治療が推奨される症状の場合、5回コースや10回コースといった回数券のようなものを契約することで、1回あたりの料金が割安になるプランを用意しているクリニックが多いです。
自由診療の場合の一般的な料金目安は以下の通りです。
照射範囲・ショット数 | 料金目安(1回あたり) |
---|---|
1cm² あたり | 5,000円〜15,000円程度 |
1ショットあたり | 500円〜2,000円程度 |
部分(鼻のみなど) | 10,000円〜30,000円程度 |
頬のみ | 20,000円〜50,000円程度 |
顔全体 | 30,000円〜80,000円程度 |
※上記はあくまで目安であり、クリニックの立地、機器の種類(最新機種かどうか)、医師の経験、サービスの質などによって料金は大きく変動します。
自由診療で治療を受ける場合、必要な治療回数や総額について、カウンセリング時にクリニックにしっかり確認することが重要です。追加費用(診察料、麻酔代、薬代など)が発生する場合もあるため、全てを含めた総額で比較検討することをおすすめします。
また、複数のクリニックでカウンセリングを受け、料金や治療方針、医師の説明などを比較することも、納得して治療を受けるためには有効です。
ブイビーム治療の流れ
ブイビーム治療を初めて受ける方が安心して臨めるように、一般的な治療の流れを解説します。クリニックによって多少異なりますが、大まかな流れは以下の通りです。
カウンセリングから施術まで
- 予約: まずはクリニックに予約を入れます。電話、Webサイト、LINEなど、クリニックが提供する予約方法に従います。症状に関する簡単な情報を伝える場合もあります。
- 来院・受付: 予約日時にクリニックに来院し、受付を済ませます。問診票の記入を求められることが多いので、現在の症状、既往歴、内服中の薬、アレルギーの有無などを正確に記入しましょう。
- 医師による診察・カウンセリング: 医師による診察を受けます。症状を診察してもらい、ブイビーム治療が適しているか、保険適用になる疾患かなどを診断してもらいます。治療のメカニズム、期待できる効果、必要な回数、治療間隔、痛み、ダウンタイム、リスク、副作用、料金(保険診療か自由診療か、総額の目安など)について、詳細な説明を受けます。疑問点や不安なことは、遠慮なくこの時点で質問しましょう。治療内容に納得したら、同意書にサインをします。
- 洗顔・クレンジング: 施術前に、メイクや日焼け止めを完全に落とします。クリニックの洗顔料やクレンジングを使用することが多いです。
- 麻酔(必要な場合): 痛みが心配な場合や広範囲を治療する場合など、麻酔クリームを塗布することがあります。麻酔が効くまで通常30分〜1時間程度待ちます。
- 施術: 施術室に移動し、準備が整ったらレーザー照射を行います。目を保護するためのゴーグルやアイガードを装着します。医師または看護師が、治療部位にレーザーを照射していきます。照射時には、DCD™による冷却ガスの噴射と同時に、瞬間的な熱感や痛みを感じます。照射時間は、範囲によりますが、顔全体でも10分〜20分程度で終了することが多いです。
- 冷却・沈静: 照射終了後、治療部位を冷却パックなどで冷やし、赤みや熱感を沈静させます。必要に応じて、炎症を抑える軟膏などが塗布されることもあります。
- アフターケアの説明: 施術後の肌の状態を確認し、自宅でのケア方法(保湿、紫外線対策、内服薬・外用薬の使用方法など)について説明を受けます。次回の予約について案内がある場合もあります。
- 会計・帰宅: 会計を済ませて帰宅します。多くの場合、施術後すぐにメイクをして帰宅することも可能です(紫斑の有無やクリニックの方針による)。
施術前後の注意点とケア
- 施術前:
- 日焼けを避ける: 施術前後2〜4週間程度は、強い日焼けを避けてください。日焼けした肌への照射は、熱傷や色素沈着のリスクを高めます。
- 体調を整える: 体調が悪い場合は、施術日を変更することも検討しましょう。
- 内服薬・外用薬: 常用している薬や、治療部位に塗布している薬がある場合は、事前に医師に申告してください。中止が必要な場合があります。
- 金属アクセサリー: レーザー光を反射する可能性のある金属製のアクセサリー(ピアス、ネックレスなど)は、施術部位周辺にある場合は外す必要があります。
- 施術後:
- 上記「ブイビーム治療の痛みとダウンタイム」のダウンタイム中の注意点(冷却、保湿、紫外線対策、擦らない、入浴・飲酒・運動の制限など)を徹底して守りましょう。
- 処方された軟膏や内服薬は、医師の指示通りに使用してください。
- 経過観察のために、次回の診察予約や、気になる症状があった場合の連絡先などを確認しておきましょう。
適切な前処置とアフターケアは、治療効果を最大限に引き出し、合併症のリスクを最小限に抑えるために非常に重要です。
ブイビームに関するよくある質問
ブイビーム治療について、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q: Vビームは何に効くの?
A: Vビームは、主に血液中のヘモグロビンに反応するレーザーです。そのため、異常な血管の増殖や拡張によって生じる様々な肌トラブルに効果があります。具体的には、赤ら顔(酒さ)、ニキビ跡の赤み、毛細血管拡張症、単純性血管腫や老人性血管腫といった血管腫、傷跡やケロイドの赤みなどの治療に用いられます。副次的な効果として、肌のハリやキメの改善が期待できる場合もあります。
Q: Vビームで赤ら顔は何回くらいで治る?
A: 赤ら顔の改善に必要なVビームの治療回数は、症状の程度や範囲、肌質によって大きく異なります。軽度の赤ら顔であれば5回程度の治療で効果を実感し始める方もいらっしゃいますが、一般的には5回〜10回以上の治療が必要となることが多いです。重度の酒さの場合や、深い層の血管が原因の場合は、さらに回数がかかることもあります。治療間隔は3週間〜1ヶ月半程度が推奨されるため、5回の治療でも数ヶ月、10回以上となると1年以上の治療期間が必要になります。治療開始前に医師と治療計画について十分に話し合うことが大切です。
Q: Vビームが効かない人はなぜ?
A: Vビームが効かないと感じる場合、いくつかの原因が考えられます。まず、症状がVビームの適用外である可能性があります。例えば、血管性ではない他の原因による赤みや、メラニン性のシミなどです。次に、必要な治療回数に達していない可能性があります。特に赤ら顔など複数回治療が必要な症状の場合、数回治療しただけでは効果を実感しにくいことがあります。また、肌の色(日焼けなど)によってレーザーが血管に十分に届かない、病変がレーザーの届きにくい深さにある、体質的にレーザーへの反応が乏しいといった可能性もゼロではありません。効果を感じない場合は、必ず担当医に相談し、原因と今後の治療方針について検討することが重要です。
Q: Vビームは何回くらいで効果が出る?
A: Vビームの効果を実感できるまでの回数は、治療対象の症状によって異なります。老人性血管腫などの局所的な血管腫は、多くの場合1〜2回の治療で目に見える改善が見られます。ニキビ跡の赤みや毛細血管拡張症は、比較的効果を実感しやすく、3回程度の治療で変化を感じ始める方が多い傾向にあります。赤ら顔や広範囲の単純性血管腫、ケロイドの赤みなどは、より多くの回数が必要で、5回以上の治療を重ねるごとに徐々に効果を実感できるようになることが多いです。これはあくまで一般的な目安であり、個人の症状や反応によって差があります。
まとめ
ブイビームレーザーは、赤ら顔や血管腫、ニキビ跡の赤みなど、血管に関わる様々な肌トラブルに対して、効果が期待できる治療法です。特定の波長でヘモグロビンに選択的に作用し、異常な血管をターゲットにすることで、周囲の組織へのダメージを抑えながら肌の赤みを改善します。
治療時には、DCD™による冷却システムにより痛みが軽減され、多くの場合麻酔なしで施術可能です。施術後は一時的な赤みや腫れ、場合によっては紫斑が現れることがありますが、これらは通常時間の経過とともに改善します。ダウンタイム中の適切な保湿と徹底した紫外線対策は、合併症を防ぎ、治療効果を高める上で非常に重要です。
ブイビーム治療の効果を十分に得るためには、多くの場合複数回の治療が必要であり、必要な回数や期間は症状によって異なります。また、特定の疾患(単純性血管腫、苺状血管腫など)には保険が適用されますが、赤ら顔やニキビ跡の赤みなど美容目的の場合は自由診療となり、料金設定はクリニックによって異なります。
治療を検討される際は、ご自身の症状がブイビームの適応であるか、保険適用になるかなど、必ず専門の医師による診断を受けることが大切ですし、効果や痛み、ダウンタイム、料金、リスクなど、疑問や不安な点をしっかり解消し、納得した上で治療に臨みましょう。
この記事が、ブイビーム治療について理解を深める一助となれば幸いです。
免責事項
この記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の疾患の診断や治療法を推奨するものではありません。個々の症状や治療に関する決定は、必ず医師の診断のもとで行ってください。治療の効果や経過には個人差があります。